『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“調査:デジタルヘルスツールが継続雇用にプラスの影響を与える”
Marsh Benefits、MercerおよびOliver Wymanのレポートによると、米国の労働者の約半数は、雇用主から新たなデジタルヘルス・ソリューシュンが提供されれば大きな信頼を寄せるだろうと述べ、1/4を超える米国の労働者はデジタルヘルスのツールが提供されれば、勤務している会社に留まるという決定にプラスの影響があるだろうと述べている。
新たなヘルステクノロジーに対する従業員と雇用主の意見を決定するため、同社は13か国の16,564名の従業員と1,300名の「上級意思決定者」の世論調査を行い、米国からはそれぞれ2,051名と100名の調査を行った。
世界的には、雇用主からデジタルヘルスを提供された場合、試してみることに興味が全くないと答えた従業員はわずか5%で、ヘルステクノロジーに大変興味を示したのは若年層が多い。
さまざまな仮定の、雇用主が提供するデジタルヘルスを提示すると、国によって特定の興味が異なった。例えば米国では、39%が提供者を見つけるアプリがあれば、雇用者および家族に「きわめて」もしくは「非常に」役に立つと答え、個人健康記録(38%)、健康状態自己管理ツール(36%)および一般疾患の遠隔医療(36%)が続く。一方英国では持病の自己管理用ウェアラブルが大変人気があり、中国では自宅での高齢者の家族を支援するコンパニオンロボットに興味が集まった。
注目すべきは、雇用主も呼び出しに応えるかのような回答をしていることである。米国95%の雇用主は健康と福祉への投資は今後数年で等しく、もしくはますます優先事項となるだろうと言っている。調査対象となった米国の雇用主の10名に4名が、デジタルヘルスの提供は、企業が従業員を留める一助となるだろうと答え、68%が今後5年間でデジタルヘルス製品への投資を増やす計画だと答えた。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2020年2月5日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
米国の法人向け健康サービスへの従業員の期待度を示したレポートです。
「1/4を超える米国の労働者はデジタルヘルスのツールが提供されれば、勤務している会社に留まるという決定にプラスの影響があるだろうと述べている」とのことですが、この数値では低いのでは?と思いますか?私は意外と高く、ついにここまで来たか。と感じました。
米国での法人向け健康サービスは、大きくディジーズマネージメントプログラムとウェルネスプログラムに別れます。ディジーズマネージメントプログラムは重篤化予防で、ウェルネスプログラムは健康予防に当たります。
米国ではディジーズマネージメントプログラムの方が利用率が高いです。何かしら疾病を患っているので、それ以上悪化したくない。治したい。との気持ちになる人も多いでしょう。
一方、ウェルネスプログラムは利用率が低いのが長年の課題でした。健康な人に予防のためと言っても、よほど健康意識の高い人でないと利用してくれません。日本でもよくある、メタボ予備群向けに募集しても、集まるのは健康そのものの人ばかり。と同じことがおきます。
今回の調査で、どちらの対象者かは記載されていませんが、「ヘルステクノロジーに大変興味を示したのは若年層が多い」ことからも、ウェルネスプログラム対象者の可能性が高いです。
米国でモバイルヘルスというワードができて、10年以上経ちましたが、以前はこれらのツールがあっても、一部のガジェット好き意外は率先して使ってくれない、使いはじめても、すぐに止めてしまうことが多かったのが実態ですが、ついに一般的と言えるレベルまでなってきたのかもしれません。
実際の効果は、今後の継続率を見ていかなければわかりませんが、このようなITツールが浸透するまでに、それなりに時間がかかるものだと思って、対応していくことがポイントになってくるのでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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