『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“デジタルヘルスが増加する中、ウェアラブルや遠隔医療は低迷”
Rock Healthは、米国の4,000人の成人にデジタルヘルスの使用と認識について調査してきた。新しい調査報告によると、米国人の87%が2017年に少なくとも1つのデジタルヘルスツールを使用し、2015年の80%と比べても増加傾向にある。
Rock Healthの研究者は、「2015年から2017年のデータでは、遠隔医療、ウェアラブル、オンラインのプロバイダーレビューのようなデジタルツールを利用して、自ら健康管理をする消費者が増加していることが明らかになってきました。しかし、その母集団のあらゆる種類のサブグループにも、あらゆる種類のデジタルヘルスソリューションにも、同様に大きな変化は生じていません。従って、デジタルヘルスソリューションが患者への強い影響力があり、生活さえ変えてしまうような成果を約束している一方で、消費者はまだ試行錯誤の状態であり、こうしたソリューションを継続して自分の生活に取り入れようとしている段階といえます」とコメントを残した。
最も幅広く採用されているデジタルヘルスツールは、オンラインの医療情報とオンラインのプロバイダーレビューであり、それぞれが79%と58%採用されている。一方、モバイルトラッキングとウェアラブルは24%、ライブビデオでの遠隔医療は19%に留まった。各カテゴリーの採用数は、2つの例外を除いて上昇している。例外はウェアラブルの採用数が2年連続で24%であり、ビデオ遠隔医療の採用数は実際のところ、2016年の22%から減少した。
この報告書は、遠隔医療に対する違った見通しを具体的にいくつか付け加えている。遠隔医療の主要な推進力となるのは、自己資金投資と医師との強力な関係だ。
遠隔医療を利用した人の満足度評価では、自ら支払った人の91%が「満足した」(「そこそこ満足した」または「とても満足した」)と答えていた。これに対し、お金を支払っていない人は62%しか「満足した」と答えていなかった。また、同じ医師を以前実際に訪れた回答者の92%が遠隔医療の利用に満足していた。一方、以前同じ医師を実際に訪れなかった人は、53%しか満足していなかった。
この調査はウェアラブルやアプリでのセルフトラッキングに注目し、健康管理の大半はまだ、デジタルツールの手助けを借りず行なわれていることを明らかにした。1種類以上の薬品を服用している回答者の54%が服薬を順守していたが、内アプリを使っている人はわずか11%しかいなかった。高血圧の回答者の66%が定期的に血圧を測定していたが、内アプリを使っている人はわずか11%しかいなかった。
肥満者の回答者は、追跡用のデジタルツールを利用している傾向が強く、20%がアプリで体重を追跡し、29%が食品や食事療法を追跡し、56%が運動量を追跡していた。
また運動量を増やすことは、ウェアラブルを使用するための最大の理由のままであり、2017年にはウェアラブルのユーザーの54%がそう答えている。40%が体重を減らすためにウェアラブルを使用しており、24%が睡眠向上のため、18%がストレス管理のためにウェアラブルを使用していた。2016年以降、ストレス管理の目的を除いて、それぞれの目的でウェアラブルを使用する人々の数は、全て増加しているが、ストレス管理の目的で使用する人々の数は減少した。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2018年8月27日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
デジタルヘルス専門のベンチャーファンドとして有名なRock Healthによる、デジタルヘルスに関する利用状況の調査結果です。
全体をみての印象としては「5年以上大きな変化はない」といったところです。
今回の調査対象者は、すでにデジタルヘルスを利用している人になります。つまり病気や健康状態を何かしら改善したいと意志を持った人です。医療情報やプロバイダーレビューを見てみようと情報収集することは、自ら行動しようとする初期段階から利用しやすいため、利用率も高まりやすくなります。
一方、ウェアラブルは、具体的な改善行動に使うツールとなります。情報収集から実行動に踏み込んだ段階で使われるものになります。
多くの人が、病状に合わせウェアラブルを使うのが最善と思ってもらえないと、ウェアラブルの利用率は簡単には伸びないでしょう。米国では、肥満改善にウェアラブルを使って運動管理することはある程度定着しているので、ここでの利用数が他と比べて高いのだと思います。
何年も変化がないことからも、デジタルの活用で市場を変えるようなものは生まれていない。と言えるでしょう。デジタルの活用に対して、そろそろ発想をおもいっきり転換するときがきたのかもしれませんね。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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