『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“投資家はいくつかの業界で撤退しているが、デジタルヘルスには投資し続けている”
Rock Healthの最新のレポートによると、2019年にはデジタルヘルスの資金調達が減速するとの予測にもかかわらず、今までにないほど飛躍的な資金調達の年を迎えている。半年経った現在、2019年中に合計42億ドルのデジタルヘルス投資が見込まれる。
「このペースで行けばこの部門は、2019年に84憶ドルの収益を上げることになります。そして年額記録を更新した2018年の総資金調達をも超すことになるかも知れません」とRock Healthの調査員であるSean Day氏は報告書に書いている。「2018年のように、1億ドル超の少数の巨大取引が全体的な流れを推進しています」
業界は急騰を続ける一方で、ここ8年、投資家たちに分配をした企業はほとんどない。Rock Healthの調査員たちは、2011年から2019年7月1日の期間の、デジタルヘルス分野の投資を深く掘り下げて調べてみると、2011年以降の投資の81%がまだリクイディティ(流動性)待ちであることが明らかになった。
近年、合併吸収の道を辿るのが、デジタルヘルス企業の最も一般的なイグジットとなり続けている。業界では今年のこれまでの合併吸収の数は43件であるが、これは報告書によれば通常よりも少ないという。この流れでいけば、今年の買収件数は昨年よりも25%少なくなる見込みだ。
しかしRock Healthは、今後、より多くの非ヘルスケア企業がデジタルヘルスのスタートアップを買収するだろうと予測する。
「私たちは、この先何年か、他の分野の買収者がより活発になると予測しています」とDay氏は書いている。「より多くの非ヘルスケア企業がヘルスケア産業に参入するということは、その戦略には外部の新機軸を買収してそれを内部に組み込むという構想が含まれることになります。当社の『デジタルヘルス合併買収データベース』では、ハイテク企業と他の非ヘルスケア企業が、一貫してそれぞれ2番目と3番目に活発な買収者となっています」
IPOは引き続き、デジタルヘルス分野では比較的稀である。Day氏によれば、これまでのところ同分野では、株式公開する会社への投資よりも、閉鎖する会社への投資金額の方がやや上回っているという。
しかし今年は、新たに多くのIPOによるイグジットがすでに決定している。報告書によれば、これまでにLivongo、Health Catalyst、Change Healthcare、Phreesia、Pelotonがすべて、株式公開の態勢に入っている。これらは3年ぶりのIPOということになる。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』、2019年7月1日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
スポルツでは参考とする海外事例を見ていくとき、成功事例と注目事例を見つけ、分析するようにしています。
成功事例と注目事例の違いとしていくつかの観点で見ているのですが、収益も基準の1つとしています。成功事例は5〜10年収益を伸ばしているもの、注目事例は収益はまだ少ないが、投資が集まっているもの、です。
特に注目事例を見つけるときは、今回紹介のRock Healthの動向はベンチマークしています。Rock Healthで注目された企業がその後、どう進化し、さらなる資金を集めているのか注視しています。
上記で株式公開予定として紹介された企業の中でも、Pelotonが急速に伸びていった代表的なデジタルヘルス企業(広義な意味で)と言えるでしょう。すでに700億円の売上に達しています。
伸びていく企業を見ていくと、技術よりもユーザー満足度に力点を置いているように感じられます。Pelotonもユーザー満足度を指標としていますが、よりユーザーの欲求を高めるためにどうするか?との視点まで踏まえたサービス設計をしているようです。
デジタルヘルスと言うと技術的側面が大きく感じられますが、ビジネスを飛躍させるためには、ユーザーの欲求に響かせることを優先し、そこに適切な形でデジタルヘルスを組み込むことが勝ちパターンと言えるでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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