『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Fitbit、睡眠を解析しアドバイスを行う『Sleep Insights』”
『Fitbit Alta HR』に心拍機能を追加するため、Fitbitは心拍センサーを小さくし、部品の数を減らさなくてはならなかった。Fitbitの発表によれば、センサーは『Fitbit Charge 2』のものに比べて25%スリム化されている。心拍センサーにより、運動を自動的に検出することや、ワークアウトの強度やカロリー消費量をより正確にトラッキングすることが可能になる。しかも、センサーの電力消費量はわずかで、デバイスのバッテリー持続時間は7日間である。
Fitbitの共同設立者でCEOのJames Park氏は声明で「『Alta HR』やこれらの睡眠に関する強力な新機能は、健康改善に役立つような、より深く、より実用価値の高い洞察をユーザーに提供できるよう革新的技術を進化させるため、当社が継続して注力していることを示している。当社のPurePulseテクノロジーの小型化は、次世代のデバイスや新たなフォームファクターにとって、刺激的な機会を生み出すものだ。また、睡眠機能の進化により、これまでは高価なラボ検査でしか得られなかったような貴重な洞察が、世界中の数百万のユーザーに提供されることになるだろう」と述べた。
『Sleep Stages』は、スタンフォード大学、ジョンズ・ホプキンス大学、アリゾナ大学の睡眠専門家たちの協力のもとで設計された。Fitbitは、睡眠専門家たちの主要会議のひとつで、今年後半に開催される「SLEEP 2017」で、睡眠段階を検出するためのセンサー使用に関するデータを提出する計画だ。
スタンフォード大学教授でFitbit専門家チームのメンバーDr. Allison Siebernは、「免疫系を健康に保ち、認知機能を維持し、そして健康的な体重を管理するうえで、睡眠は重要な役割を担っている。Fitbitの新しい睡眠機能は、より質の高い睡眠を得られるように、そしてその結果として全体的な健康状態を改善できるよう、科学に基づいたアプローチを用いて、時間ごとの睡眠パターンを可視化し、人々に日々のルーチンを変えさせるのに有効かつ実用的なガイダンスを提供する(『Sleep Insights』)。この製品の快適性やアクセシビリティーを考えれば、睡眠研究の専門家ではない一般消費者にとって、もっとも有益で価値あるトラッキングソリューションだろう」と述べた。
記事原文はこちら(『mbihealthnews』2017年3月6日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
昨年もウェアラブルデバイス市場のトップをキープしたFitbitから、早くもニューモデルが登場しました。今回はニューモデルと同時に発表された睡眠に関する新たなアプローチについて見ていきたいと思います。
『Sleep Stages』は、心拍センサーを使って睡眠の質を測定することで活動量による計測よりも精度を高めるというものですが、この取り組みは他社でもすでに手がけているので、精度の差はあるかもしれませんが、驚くような機能、とまでは言えません。
注目したいのは『Sleep Insights』です。睡眠記録に基づき、睡眠の質や健康全般の改善に役立つ実用的なアドバイスを行なうとのことです。もう少し具体的に知りたかったのでFitbitのプレスリリースを確認すると、以下の例がありました。
「あなたの睡眠とランニングには、密接な相関関係があるようです。この10週間の睡眠記録を見ると、ランニングした日は、しなかった日と比べて20分ほど長い安眠時間が得られています」
「この週末の平均睡眠時間は、9時間30分でした。平日の平均睡眠時間5時間40分を大幅に上回ります。このギャップは平日に十分な睡眠が得られていない可能性があります」
アドバイスは、なにか革新的な健康法を伝えるのではなく、現状から小さな気付きを与えるものです。ポイントとなるのは、この“小さな気付き”を得ることで、無理のない範囲で改善行動に向かわせるきっかけになることです。
人は覚悟を決めて、あるいは準備をして取り組むことだと、どうしても後回しになりやすく、後に回すと忘れてしまったり、面倒に思ってしまったりすることがあります。しかし、「これならすぐできる」と自然に感じさせることができれば、行動につながりやすくなります。
現状の例文では、どのような行動をすると良いかまでは提示されていません。この先に用意されているのか? 行動まではあえて提示しないのか? はまだわかりませんが、サービスのリリースが楽しみです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ITヘルスケア学会 モバイルヘルスシンポジウムで講演を行う。
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