『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Fitbit、ヘルスコーチングアプリ『Twine』を獲得し医療分野を強化へ”
ウェアラブル大手Fitbitは、医療コーチングプラットフォームTwine Health社の買収を発表した。金額は未公開。この買収により、Fitbitはこれまで以上に医療分野を強化することになる。
Twine Healthのプラットフォーム『The Twine Employee Health Activation Platform』は、人工知能技術を使用しプロバイダーの指導チーム、介護者たちが介護計画を策定するための筋道を作ることで、糖尿病や高血圧などの慢性疾患管理の支援を目指している。またこのアプリは、減量や禁煙などのライフスタイルへの介入支援も目的としている。
Fitbitの共同設立者兼CEOの James Park氏は、発表で「Twine Healthは、糖尿病や高血圧症などの疾患を管理する患者にとって有望な結果をもたらしました。これらの疾患はFitbitの2つの重点分野で、米国だけでも約1億500万人の人々が対象となります。何百万人もの消費者が健康と体調を管理できるようにするため、Twine Healthの10年以上に渡る経験と組み合わせることで、行動を変えるうえでもっとも困難な障壁のいくつかを取り除き、人々と医療チームの強固なつながりを構築することができます。共に協力し、医療機関が、臨床環境の壁を越えて患者をよりサポートし、より良い健康成果をもたらすことができ、最終的には医療費を削減するお手伝いをします」と述べた。
Twine Healthによる臨床試験では、患者が収縮期血圧を下げ、糖尿病患者のHbA1Cレベルを下げることに役立つことが明らかになっている。最近Twine Healthは、マサチューセッツ州のNewton-Wellesley Hospitalと協力し、患者が再び循環器科の治療を受けなくて済むような新しいアプリベースの取り組みを作成すると発表した。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2018年2月13日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
ここ1、2年の動きとして、ウェルネス分野で活動してきたmHealth企業がメディカル分野、特に生活習慣病への参入を加速してきています。
アプリサービスとしてダイエットに取り組んできたNoomは、『Noom Health』で米国の糖尿病予防認定プログラムとして認定されたり、ウェアラブルデバイスの代表的企業であるJawboneは昨年、会社を精算して医療分野を専門とするJawbone Health Hubを創業しました。Fitbitのデバイスは、何年も前から医療研究者に活用され、多くの論文が発表され効果も認められています。
Fitbitも自ら、Noomなどと同じようにウェルネス市場で培った経験を活かし、Twine Healthの買収によって本格的にメディカル分野へ参入することになります。
予防領域から医療領域に拡大、もしくはシフトするためには“ウェルネス市場で培った経験を活かす”ことが重要になります。医療領域の専門性は治療であり、生活習慣改善には常に課題がありました。予防領域で難易度の高い“病気でもない人をより健康にする”ことができたノウハウは必ず生活習慣病に活用できます。
予防領域ではあまり儲からないからと、医療領域にシフトして新たにはじめるのではなく、予防領域で他にはない独自性でユーザーの支持を得て、メディカル分野に貢献するような展開が、やはり望ましい形であると言えるでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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