『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“23andMe、オンライン薬局Lemonaid Healthを4億ドルで買収”
23andMeはLemonaid Health社買収を株式と現金4億ドルで合意した。同社の遠隔医療付きの遺伝子サービスに基づくビジネススキームで進めようとしている。
CEOのAnne Wojcicki氏は投資家向け電話会議で、同社は遺伝子ベースの一次治療の提供を計画していると語った。Lemonaid Healthの消費者の遺伝子検査を使ったヘルスコーチングサービスとオンライン薬局を加える予定だという。
まず第一に、同社はゲノム薬理学レポートを利用する計画だ。これは、さまざまな人が特定の薬品をどの程度良く代謝するか示すものである。同社はFDAの認可を得た33種類に対するゲノム薬理学レポートを保有しているが、大多数の検査に対して、消費者は臨床医により指示された独立した検査なしに投薬を変更しないよう指導されている。
同社は、患者治療での遺伝子レポートの使用方法を、Lemonaid Healthの医師と正看護師に訓練する計画もしている。
サンフランシスコ拠点のLemonaid Healthは、バースコントロールやアクネと尿路感染の治療など、一般的な処方薬の配達を行っている。薬は医師または正看護師との遠隔医療診察後に処方される。診察には医療歴に関する質問票への患者の記入が含まれ、ビデオ診察もする場合がある。また不安と鬱に対するヘルスコーチングも提供している。
23andMeは特別買収目的会社(SPAC)との合併後、今年初めに上場した。遺伝子検査の購入が鈍化する中で、同社は会員制サービスなど収益をもたらす他の方法を模索中である。またGlaxoSmithKlineが2018年同社に投資後、医薬品開発に関して協業も行っている。
6月30日に終えた四半期での同社売り上げは5,900万ドルで昨年から23%増であった。しかし、昨年の純損失は3,600万ドルに対して、4,200万ドルの巨額の純損失を計上した。
記事原文はこちら(『MedCity News』2021年10月22日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
23andMeの巻き返しがはじまりました。
23andMeと言えば、遺伝子検査をポピュラーなものにした第一人者です。一時期、日本でも多くの企業が遺伝子検査事業に参入し、ブームと言える状態でしたが、今ではそのほとんどが撤退しました。
遺伝子検査、特に簡易遺伝子検査は変動しない遺伝子になるので、検査して、何かが不足していることがわかっても、それを補う活動による遺伝子変化はありません。
チェックしてソリューションしたなら、さらにチェックすることで改善度を見たいですが、遺伝子検査ではわからないことになり、行動の指針としてもモチベーション的にも影響が出てきます。
簡易遺伝子検査は、行動継続に作用しにくいのが最大の難点でした。23andMeの業績が低迷していたのにも、そのあたりが大きな要因になっているのでしょう。
彼らの次の一手は、改善行動へのアプローチです。ただオンラインで薬を提供して便利でしょ!? と言うレベルではなく、改善行動を支援するサービスを行うLemonaid Healthを買収しました。
23andMeも長い時をかけて、やっと改善行動の重要性にたどり着いたことになります。ここからの23andMeの活動、要注意です!
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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