『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“HoneyNaps、不眠症デジタル治療プラットフォームを開始”
韓国のヘルスケアスタートアップ社は、不眠症の解析・診断に加え、デジタル治療事業の開始を発表している。デジタル治療はソフトウェア医療機器(SaMD)によって、薬物療法など従来の治療法を代替あるいは補完することが期待される手法で、近年市場の成長が著しい。
HoneyNapsの1日付リリースによると、同社が開始したデジタル治療プラットフォームは、睡眠疾患診断AI「SOMNUM」、非接触型睡眠分析・コーチング「My SOMNUM」、不眠症デジタル治療薬「SOMNUM Medella」で構成されている。不眠症のデジタル治療は、認知行動療法をベースとして、薬物療法のみに依存しない不眠症治療を目指している。個人の睡眠データを正確に解析し、個別化された継続的なデジタル管理で行動変容を促すことで、睡眠障害からの回復効果を高めるという。
HoneyNapsの担当者によると、デジタル治療薬「SOMNUM Medella」は、現在米国FDA承認による審査中であり、大手製薬会社とのライセンス契約や国際展開に向けた交渉を行っているとのこと。テクノロジーによる睡眠改善を狙う主要なプレイヤーとして、今後の動向には業界からの注目が集まっている。
記事原文はこちら(『The Medical AI Times』2021年12月3日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
デジタルセラピューティクス(デジタル治療薬)が少しずつ市場での広がりを見せています。当初は生活習慣病が主なターゲットとされてきていたようですが、現在はかなり広い疾患に対応をはじめています。睡眠障害もその一つです。
スリープテックと呼ばれる分野も、初期は健康領域における睡眠改善でしたが、今回紹介するHoneyNapsのように、現在は医療での活用が模索されています。
注目したいのはHoneyNapsがアプローチしている市場が米国であることです。韓国の企業が米国を市場に選んだ理由として想定されるのは、米国は、デジタルセラピューティクス先進国であるため、認可までの速度も他国に比べて早いです。そして、結果に繋がるなら新たな取組みも受け入れられやすいことではないかと思っています。
一般的医療のイメージとしては、病院で診察してもらったら処方薬を出してもらい、服用することで改善に向かうと言うものです。これが当たり前のものになっています。このような文化はここ数十年でできたものではなく、1万数千年前から存在すると言われています。
これがここ数年で、デジタルも薬の一種としましょう。となったわけです。
このようなデジタルが薬に置き換わると言った今までの文化にないものを、患者はもちろんですが、提供する医療機関も簡単に受け入れられるのでしょうか?OTC薬品の普及も時間を要したことからも、それなりに認知活動が必要になってきます。まさに市場開拓です。
製品の完成度を追求するだけでなく、認知活動もおこなわなければ、市場に浸透してはいきません。この認知活動が膨大な費用と時間を要します。体力がなければ取組むことができません。
「技術的にできそう」と思っても、どうやって収益を上げていくのか?をセットで考えていかなければビジネスとして成立しなくなってしまいます。作ることと普及は別の視点を持って取組んでいく必要があります。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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