『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“調査: デジタルヘルスへの投資はROIと臨床的検証を指標とする”
投資会社GSR Venturesの調査によれば、ROI(投資利益率)と臨床評価が2023年のデジタルヘルス企業にとって成功の最も重要な指標になるという。 この調査は50人を超える投資家からの回答を含むものだが、94%以上がデジタルヘルス企業の成功にとってROIが「重要」または「非常に重要」であると考えており、79%が臨床的証拠と臨床試験が最高の指標であると述べた。 投資家たちは2023年のデジタルヘルスの資金調達額が150億ドルと250億ドルの間であると予測している。またシードステージの資金調達の場合、評価額がおよそ20%低下するとも見込んでいる。シリーズAとシリーズB+の評価額は20%から40%の間で低下する可能性がある。
調査を受けた投資家の48.1%によれば、医療従事者の不足とバーンアウトが広まることにより、新興企業に最大の機会がもたらされるという。27%近くが償還モデルを変えることが最大の課題だと述べ、続く11.5%が相互運用性に言及した。 半数を超える投資家たちが、腫瘍学が新興企業にとって最も有望な臨床領域だと述べ、次いで37.3%がメンタルヘルス、27.5%が神経学、23.5%がプライマリーケア(初期診療)を挙げた。
「デジタルヘルスの投資家はまだ、2023年に評価額が低下すると思っていますが、ほとんどが依然エコシステム全体は健全で、投資レベルは過去5年間に匹敵する150億ドルから250億ドルであると考えています」と、GSRベンチャーズのビジネスパートナーであるJustin Norden博士は声明で述べた。
「さらに、投資家たちがますます臨床評価を重要視しているとわかったのは素晴らしいです。新興企業が腫瘍学や医療従事者のバーンアウトなど、非常に大きなチャンスのあるこうした領域を追求するにつれ、臨床評価は絶対不可欠なものになります」
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2022年12月2日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点!
デジタルヘルス、2023年の投資予測が発表されました。今年に引き続き、低迷すると予測されています。
すべてが低迷すると言うことではなく、注力テーマ(課題)を扱うことができれば、投資は得やすくなるようです。今年も軽度なメンタル予防から、重度なメンタル対応へシフトしました。来年の投資家の注目領域は、腫瘍学が新興企業にとって最も有望な臨床領域だと伝えています。
私が注目したいのは「医療従事者の不足、バーンアウト(医療従事者の燃え尽き症候群)により」と記載されていることです。
医療従事者(介護も含め)不足は今後の日本においても課題となっています。今後、益々人手が足りなくなる中、奮闘する医療従事者も終わりのない対応が続けば、バーンアウトが起こることも必然だと思います。
この課題に対して、デジタルで効率化することで改善を目指すのは必要なことでしょう。しかし、その新しいテクノロジーを使いこなすのも、忙しい医療従事者になります。ある側面では楽になるでしょうが、新たなストレスも引き起こす可能性もあります。
デジタルヘルスが目指すのは、デジタルで効率化だけでなく「すべてのデジタルヘルスにウェルビーイングの視点」を入れていくべきだと考えます。
治療やサービスを受けるエンドユーザーだけでなく、ヘルスケアに関わる人が得られるウェルビーイングを提供できることで、本質的な課題となる医療従事者不足、バーンアウトへの対応となっていくのではないかと思うのです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
Comments are closed.