『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Elon Muskのニューラリンクデバイス『Blindsight』がFDAの画期的デバイスに指定される”
Elon Musk氏の脳コンピュータインターフェースインプラントのスタートアップNeuralink社は、失明した人の視力回復を目的としたインプラント『Blindsight』でFDAの画期的デバイス指定を受けた。
『Blindsight』は、人の脳の視覚皮質に微小電極アレイを埋め込み、そのアレイがニューロンを活性化し、その人に視覚画像を提供する。
Elon Musk氏によると、『Blindsight』装置により、視神経の視力を失った人でも、視覚皮質(網膜から視覚情報を受信して処理する脳の部分)が損傷していない限りは見えるようになるという。生まれつき目が見えなかった人でも、初めて見えるようになるという。
「期待を正しく設定するために言うと、視覚は最初はアタリのグラフィックス(デザインの際に一時的に仮で使用する画像やイラスト)のように低解像度になるが、最終的には自然視覚よりも優れ、赤外線、紫外線、さらにはレーダー波長で見ることができるようになる可能性がある。スタートレックの登場人物、ジョーディ・ラフォージのように」とElon Musk氏はXに書いている。
Neuralinkは昨年、BCIデバイスの動物およびヒトでの試験から移行するためのFDAの承認を受けた。
同社のウェブサイトには、「Neuralink の最終的な目標は、人間の脳のあらゆる側面と連携できる汎用的な入出力プラットフォームを作成することです」と記載されている。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2024年9月19日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
何かと話題のElon Musk氏によるヘルスケアへの取り組み、注目している方も多いと思います。
今回紹介された『Blindsight』は、視力を失った人(最初から見えなかった人も)の視力を回復させるというものです。
ヘルスケアとして、とても価値ある取り組みだと言えます。
ただし、Neuralinkのアプローチは「脳のあらゆる側面と連携できる汎用的な入出力プラットフォーム」のため、脳に直接インプラントを埋め込むことに抵抗を持つ方も多いでしょう。
私は、「どんなことにも始まりはある」と考えますので、本当に解決したい課題であれば、価値ある取り組みと認められてくると思います。(実際にFDAも人での実験を承認しているのですし)
ビジネスの側面で考えた場合、このような新しい取り組みをどんなに優れた研究者であっても、ビジネスの起動に乗せるのはかなり難易度が高いでしょう。とにかく認めてもらうまでに膨大な労力と時間を費やすことになります。
Elon Musk氏のように、すでに別のビジネスで成功している人がいてこそ、まったく新しい取り組みを人に認めてもらう時間を短縮できるのではないかと思うのです。
ヘルスケアでまったく新しい取り組みにチャレンジするのであれば、人に認知され認められるストーリーまで考え、適切な体制を整えることまで考えていく必要があります。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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