『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Red Cell Partnersが発表した、2025年に注目すべき3つのヘルスケアトレンド”
雇用主はGLP-1管理フレームワークを再定義する
今年、雇用主は従業員のGLP-1医薬品の需要に最もよく応える方法を検討し続けるだろう。中小規模の雇用主は主に保険適用の決定を検討するが、大規模な組織はより深く検討し、どの利用管理手法が最良の結果をもたらすかを評価する可能性が高いと、Red Cell Partners社の市場エンゲージメント責任者であるBorislava Marcheva氏は予測している。
「GLP-1の支出を管理するために、雇用主、薬剤給付管理者、ナビゲーター、サードパーティベンダーの間でよりオープンな情報共有が行われるようになるでしょう。その結果、従業員の人口統計、慢性疾患の有病率、医療消費パターン、地域の医療動向などに基づいて、最適なUMソリューションをより適切に定義するための有意義なフレームワークがいくつか出現し始める可能性があります」と彼女は宣言した。
記事原文はこちら(『MedCity News』2025年1月3日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
2025年に入り、ヘルスケア業界でも今年の予測がいくつか発表されました。その中から今回はヘルスケア関連新興企業への資金提供と育成を行う投資・インキュベーションを行うRed Cell Partnersが発表した「2025年ヘルスケアトレンド」に注目します。
今回の記事では3つのトレンド予測が紹介されました。
・メディケイドは創設以来最大の構造的変化を経験することになる
・AIエージェントを使用する医療機関が増えるだろう
・雇用主はGLP-1管理フレームワークを再定義する
注目ニュースでは「雇用主はGLP-1管理フレームワークを再定義する」にスポットを当ててみましょう。
GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病血糖値を有意に改善し、心血管イベントのリスクを低減することから、日本国内でも使用されてきました。ダイエット目的の場合、自由診療として処方されることがあります。
米国ではFDAが、2型糖尿病治療薬の「セマグルチド」を減量目的で使用することを2021年6月に承認したことで、肥満の特効薬として話題となり、ブームとなっています。
肥満は生活習慣病の原因とも言われ、生活習慣病改善には、まずは減量となります。とは言え、減量は口で言うほど簡単ではないため、多くの方が途中で挫折したり、減量できてもリバウンドを繰り返しています。
法人企業の保険料でインパクトがあるのも生活習慣病です。この課題を改善するためにGLP-1を採用したい企業も多くなっているようです。
Red Cell Partnersによるコメントの中で、「大規模な組織はより深く検討し、どの利用管理手法が最良の結果をもたらすかを評価する可能性が高い」と記載されています。
“どの利用管理手法が最良の結果をもたらすかを評価する”とは、すでにGLP-1を導入した経験があり、一時的に減量できても、やめればリバウンドしてしまうことを知っているため、減量効果を持続することができて、はじめて評価に値すると考えているためではないかと思うのです。
注射するだけ(飲むだけ)で痩せられる手軽さに魅力を感じて率先して利用する人の多くは、せっかく痩せても、その体型をキープするための健康行動はなかなかしてくれません。
次はそのような人たちが、面倒くさがらずにキープのための健康行動につなぐことにビジネスチャンスがあると言えます。リバウンドは米国だけの問題ではないので、チャンスにつながると思うのです。

『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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