『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“『ポケモンGO』健康効果は長続きしない? ハーバード大研究”
今夏の配信開始以来、世界的な人気を集めているスマートフォン向けゲーム『ポケモンGO』をプレーすることで増えた1日の歩数が、約1カ月半後にはダウンロード前と同じ水準に戻っていたという調査結果を、米ハーバード大学の研究者らがこのほど発表した。
『ポケモンGO』は、スマートフォンの位置情報機能を使って、現実世界のさまざまな場所でポケモン(ポケットモンスター)を捕まえるゲームで、モンスターを見つけるには様々な場所に行く必要がある。
研究者らによると、積極的にプレーしていた人は最初の1週間で、1日の歩数が平均で955歩増えた。しかし、効果は徐々に弱まり、6週間後には歩数が元に戻っていたという。
記事原文はこちら(『BBC NEWS JAPAN』2016年12月12日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回の注目ニュースは、『ポケモンGO』の健康効果に関してです。
ハーバード大学の研究者が行なった今回の調査では、『ポケモンGO』を積極的にプレーしていた人は、最初の1週間で、1日の歩数が平均で955歩増えています。
日本でも、会員数が100万人を超えた食事管理アプリ「あすけん」が、『ポケモンGO』と会員の歩数データの関連について、いち早く2016年8月3日に発表しています。「あすけん」会員の歩数データに関しては、『ポケモンGO』の国内リリース日2016年7月22日から1週間の平均歩数が14%が増加したとのことで、今回のニュースと同様に、確実に『ポケモンGO』を使用することによって「歩かされている」状況がわかります。
しかし、今回のニュースの調査結果では、6週間後には歩数が元に戻ってしまい、『ポケモンGO』の歩数効果は限定的であったとコメントされています。果たしてこの6週間で歩数が元に戻ってしまったことについて、みなさんはどう考えますか?
「6週間しか」でしょうか?
それとも「6週間も」でしょうか?
私は、「6週間も」という印象を受けました。
企業の取り組みとして歩数計を活用した期間限定のウォーキングイベントが開催されるケースがありますが、「歩数を稼ぎましょう」、「健康になりましょう」といったスローガンに積極的に参加してくる従業員は限られているのが現状ではないでしょうか? ましてや、積極的に参加する人が限られているなかで6週間継続できる人は、さらに少なくなるのが現実ではないでしょうか。
今回の『ポケモンGO』で歩数が増加した人は、おそらく企業でウォーキングイベントが開催されても積極的に参加しない人が大部分だと思います。どちらかというと「健康」への意識があまり高くない人を「外に出掛けさせて、歩かせる」仕掛け作り、きっかけ作りとしては、ゲームは依然として大きな可能性があると感じています。
期間が限定的であっても「外に出掛けさせて、歩かせる」ためのゲームの活用は、「健康無関心層」の人に向けての「ヘルスプロモーション」としては、有効ではないかと考えています。
モバイルゲームを活用したヘルスケアの取り組みが、もっと活性化されることが今後はさらに注目されると思います。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。食コンディショニングアドバイザー。
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