『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「
今回注目したニュースはこちら!
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“三井物産戦略研究所レポート:ウェアラブルデバイス ー進展する産業利用と技術の深化—”
<Summary>
・ウェアラブルデバイスの製品開発が活発化しており、近年は個人向けでなく産業向けの活用が拡大することが予想される。
・産業向けでは、従業員の健康管理を目的とするものに加え、リハビリ用途などへの利用拡大が見込まれるほか、各種製造現場の教育における活用が進展している。
・稼働時間の長期化、小型化、軽量化等の技術的課題に加え、社会課題としては取得されるデータに起因するプライバシー問題を誘発する可能性も指摘されるが「いつでも、どこでも、誰でも」利用可能なウェアラブルデバイスの利便性によって得られる利益は極めて大きく、さらなる発展が期待されている。
近年、ウェアラブルデバイスの製品開発が活発化しており、個人向けだけでなく産業向けの活用が進みつつある。本レポートでは、現時点でのウェアラブルデバイスの活用シーンを分類しつつ全体動向を俯瞰し、市場規模の拡大が予想される産業向けウェアラブルデバイスの事業領域における事業機会と課題について考察し、ウェアラブルデバイスをめぐる事業の未来を展望する。
ウェアラブルデバイスとは、持ち運べるだけでなく、身に着けたまま利用可能で、通信機能、センサーを備えたコンピューターのことを指す。開発は1980年代に始まり、1990年代にマサチューセッツ工科大学に在籍したスティーブ・マン氏が開発した「カメラを付けたヘルメット」や「コンピューターを入れたリュックサック」が初のウェアラブルデバイスといわれている。
市場の拡大を促したのは、2009年に発売されたFitbitのリストバンド型活動量計の登場である。さらに消費者向けとして最も売れるウェアラブルデバイスとなったアップルウォッチ(腕時計型)が2015年に登場したことで、ウェアラブルデバイスの認知度は高まった。
現在、ウェアラブルデバイスには、手首装着型だけでなく、メガネ型(スマートグラス)、頭部への装着型(ヘッドマウントディスプレイ:HMD)、ウェア型、靴型、ベルト型などがあり、新たな製品開発が進められている。
メガネ型の代表例としては、Google Glassが挙げられる。2012年以降、米国を中心にウェアラブルデバイスやアプリなどのコンテンツ開発者向けに販売され、ウェアラブルデバイスが注目されるきっかけにもなった。Google Glassはバッテリーの持続時間や発熱に加え、画像録画による意図しないプライバシー侵害などの課題があり、発売が中止されたが、2017年にGlass Enterprise Editionとして、法人向けに、デバイスだけでなく、用途展開に必要なシステムも含めた形で販売が再開されている。
頭部装着型のHMDでは、これまでHTC社(製品名:VIVE)、Oculus社(製品名:Rift)などのVR型HMDが主流で、機器を通して見える世界の全てが仮想であり、ゲームや映画鑑賞など特定のコンテンツへの没入感を得るものが中心だった。しかし、2017年末にGoogleやアリババから計19億ドルの出資を受けて開発を続けていたMagic leap社が発表したAR型HMD(製品名:Magic Leap One)では、現実世界に仮想を重ねることで、例えば作業員に煩雑な作業の指示を直観的に理解させることが可能になったほか、地図案内といった日常生活の利便性を向上させる用途での活用が可能になり、AR型HMDの用途展開や今後の動向が注目されている。一足早く市場投入されたマイクロソフト製HoloLensは、AR機能を備えるHMDとして主に産業用途向けでの製品展開を進めている。
レポート原文はこちら(株式会社三井物産戦略研究所、2018年5月17日発表)
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、ウェアラブルデバイスをめぐる今後の展望に関するレポートです。
ヘルスケア領域でのウェアラブルデバイスと言えば、やはりFitbitのリストバンド型活動量計が代表格ではないでしょうか。また最近では、スマートウォッチとしてのApple Watchがリストバンド型活動量計ではFitbitを抜いてウェアラブルデバイスの出荷台数で世界一の座に着いているという状況です。
今回のレポートの中で興味深い点として、これまでFitbitを代表にヘルスケア領域では個人の健康管理目的だったものが、最近では投資コストを回収しやすい産業利用へと用途を拡大させてきているということです。
この産業利用への拡大という点に関しては、ウェアラブルデバイスが個人利用BtoCから、BtoB、BtoBtoCとビジネスの幅がヘルスケア領域でも拡がってきていると私も感じています。
BtoB、BtoBtoCへのビジネスの幅の拡大や産業利用といった展開では、これまでの「健康」のためのウェアラブルデバイスや身体活動の「見える化」としての機器から、もっと目的が明確なソリューションのためのウェアラブルデバイスといった位置づけに変化してきているように思います。
また今回のレポートの中で、ビジネスという視点においては、立場にかかわらずデバイスそのものでの利益を追求するのではなく、その先にあるサービスや事業を見据えることが重要であるとも述べています。
ソリューションのためのウェアラブルデバイスという位置づけに変化してきていることにも通じることですが、ウェアラブルデバイスは、機器とソフト(コンテンツ)がセットになってソリューションとして機能するものだと思います。
ウェアラブルデバイスのセンサーや性能など機器単体での価値提案はある程度はできると思いますが、やはりウェアラブルデバイスの価値をさらに高めるためには、連動するコンテンツやサービスが重要な役割を担っています。
そのため、ウェアラブルデバイスの価値をさらに高めるには、これまでのヘルスケアの枠を飛び越えたコンテンツやサービスとの組み合わせが、必要になってきているのだと考えています。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、
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