『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「
今回注目したニュースはこちら!
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“データヘルス改革とは?2020年に実現する8つのサービスと工程表 ”
国を挙げた「データヘルス改革」が飛躍的に進展しそうだ。2019年度は関連予算として721億8,000万円が計上された。これは前年度の171億7,000万円に比べ、550億円の増額であり、国の本気度がうかがえる。データヘルス改革は、医療、介護、個人の健康管理情報などこれまで分散していた情報を連結してビッグデータを構築し、これを基にAI解析などを加え、データをより実効性のあるサービス提供に活かそうという政策だ。
・データヘルス改革とは?(推進本部:厚労省)
データヘルス改革とは、ICTを活用した健康管理・診療サービスの提供や、健康・医療・介護領域のビッグデータを集約したプラットフォームを構築していく厚生労働省の戦略のこと。世界最高の26%という高齢化率を背景に、日本は効率的な医療提供体制の整備の必要性に迫られており、データヘルス改革は、保健医療サービスを国民が効率的に受けられる環境の構築を目的としている。
医療・介護の提供だけでなく、予防推進による国民の健康維持・増進効果のほか、新たな創薬にも生かせると考えられている。一方その整備においては大規模なシステム構築が必要であるため、産官学の連携が重要となる。厚生労働省には「データヘルス改革推進本部」が設置され、2017年1月から2019年2月まですでに5回の検討会が開かれている。
データの基盤を整備するために、通称「次世代医療基盤法」が2018年5月に施行されている。医療分野のデータの匿名加工に関し、加工者の認定や取扱いに関して規制を定めた。こうした環境整備により新たな産業の創出を目指す。
データヘルス改革を進める方針については、骨太の方針2018(経済財政運営と改革の基本方針)においても、「保健医療データプラットフォーム」を2020年度に本格運用することで、医療・介護の生産性の向上を目指すと明記されている。
・データヘルス改革の目的
データヘルス改革の目的の第一は効果的・効率的に医療・介護サービスを提供することによって、国民の健康寿命を延伸することだ。さらにはビッグデータの解析により、創薬など周辺産業の育成にも資することが考えられる。
・データヘルス改革の全体像
データヘルス改革の取組みの全体像は、厚生労働省が2018年10月に「データヘルス改革で実現するサービスと工程表について」で公開している。改革は5つの領域にまたがる。
1、医療サービスの適正化を目的に「保健医療記録共有」と「救急時医療情報共有」構築
2、ビッグデータの活用で、医療・介護・健康領域で分散している情報を集約し解析できるシステムを整備
3、科学的な介護の実現へ向けて介護データ解析
4、がんゲノム医療の活用
5、審査支払業務の質を高めるためのデータ解析
記事原文はこちら(『ウーマンズラボ』2019年8月1日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、国を挙げた「データヘルス改革」に関するニュースです。
「データヘルス改革」は、厚生労働省の戦略で、健康・医療・介護領域のビッグデータを集約したプラットフォームを構築し、そのプロラットフォームを活用して国民が最高水準の保健医療サービスを効率的に受けることことができることを目指しています。
その力の入れようは予算額からもわかるように、前年度の171億7,000万円から2019年度は関連予算も含めて721億8,000万円が計上され、前年度から550億円も増額されています。
「データプラットフォーム」といったデータの一元管理をビジネスとしてチャレンジした民間企業はこれまでにも多くいましたが、残念ながら成功事例として言えるところまでには至っていないのが実情です。
その原因としては、以下のようなことが考えられます。
・データを集めることがメインで、データを活用したサービス提供などの「出口」が見えない
・独占、独自のプラットフォームにこだわり過ぎるあまりに、閉ざされていた
・そもそも利用されないため、データそのものがが集まらない
「データヘルス改革」では、国が主導するプラットフォームであるため、間口は広く取られていて、国民に対するサービス提供の「出口」も明確に位置づけられています。
これまでの「データプラットフォーム」として提供されてきたサービスは、「データを集める」「データを囲い込む」ことが狙いであって、その先の「データをお金に替える」部分が見えづらい部分が多くありましたが、「データヘルス改革」では、提供が可能になるサービスとして以下の8つを掲げています。
1.保健医療記録共有サービス
2.救急医療情報共有サービス
3.健康スコアリングサービス
4.データヘルス分析サービス
5. 乳幼児期・学童期の健康情報
6.科学的介護サービス
7.がんゲノムサービス
8. AI
これらのサービスは2020年度から本格的に運用が開始するスケジュールが引かれています。
しかし、最初はデータを活用したサービス提供も一部に限定されるなど、完璧なサービス提供は難しいことが予想されますが、少しずつアップデートしてよりよいサービス提供が可能な「プラットフォーム」に仕上がっていって欲しいです。
また、多くの利用者はもちろんサービス提供者にとって使い勝手が良く、使う価値を持った「プラットフォーム」を目指すことこそが、データが集まる一番の近道だと思うので、「利用者」の目線を入れたプラットフォームを構築して欲しいと願っています。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、
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