『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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西川が今年も日本人の睡眠実態を大調査
“『西川 睡眠白書 2020』を9月3日睡眠の日に発表!”
西川では、社内研究機関である「日本睡眠科学研究所」監修のもと、1万人の睡眠実態を追った『西川 睡眠白書 2020』を「睡眠の日」にホームページで公開いたしました。 『西川 睡眠白書』は2018年より毎年発表し、今年が3回目となります。
■日本睡眠科学研究所コメント
今回の調査では2018年、2019年に行った「日本人の睡眠調査」の主要項目に加えて、新型コロナウイルス流行前後の睡眠状態の変化を調査しました。結果、約8割の回答者が熟睡感や目覚めの良さ、寝つきの良さ等の変化について「変わらない」と回答しました。しかし、状態が悪化したと認識する人も少ならからずおり、心身ストレス増加や活動量低下の影響が懸念されました。一方で、親から見た子どもの睡眠状態の変化については、子どもの学齢によりばらつきが見られ、特に高校生においては他の学齢に比べて睡眠状態が悪化している傾向がありました。今後は、新しい生活様式に沿って心身ストレスや活動量を意識した睡眠のとり方を考慮していく必要があると考えます。
■調査方法
調査概要: 日本人の睡眠に関する意識・満足度調査
調査手法: WEBパネル調査
調査時期: 2020年7月16日~7月20日
調査対象者: 全国の18歳~79歳の男女
回収サンプル数: 基本調査対象10,000人 ※居住地別・性年代別人口構成比に合わせて聴取
本調査対象 3,000人 ※基本調査1万人のうち、性年代別人口構成比に合わせて聴取
調査会社: 株式会社クロス・マーケティング
■『西川 睡眠白書2020』全文公開
下記WEBサイトより閲覧いただけます。
https://www.nishikawasangyo.co.jp/company/laboratory/hakusyo/
調査結果抜粋
①アテネ不眠尺度「不眠症の疑いが高い」が5割弱で、20代・30代が多い傾向
世界保健機構(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠判定方法「アテネ不眠尺度」の質問に則り、1万人に調査したところ、全体の49.1%の人が 「不眠症の疑いが高い」という結果となり、前年の50.1%を1.0ポイント下回った。年代別では、とりわけ20代・30代で「不眠症䛾疑いが高い」人が6割弱と、他の年代と比べて「不眠症の疑いが高い」人が占める割合が高い傾向にあることが見てとれる。20代・30代と働き盛りの睡眠改善の必要性が高いことが窺える。
②新型コロナウイルス流行前後での睡眠状態の変化
新型コロナウイルスの流行前後での睡眠の状態全般・睡眠時間・熟睡感・目覚めの良さ・寝つきの良さの変化について、いずれも「変わらない」が約8割を占めており、変化に影響があったのは全体の2割程度であった。ただし、全項目において「良くなった」に比べ「悪くなった」の割合が高く、特に熟睡感においてその傾向が顕著であった。熟睡感を上げるためには日中に適度な運動を取り入れる等の工夫が必要であると考えられる。
プレスリリースはこちら(西川株式会社、2020年9月3日発表)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、寝具メーカーの西川が発表した『西川 睡眠白書 2020』に関してのニュースです。
毎年9月3日は「睡眠の日」であることから、今年もこの睡眠の日のタイミングで各社がリリースを出しています。今年の「睡眠の日」のタイミングで、私が目にした睡眠関連のレポートを少しだけご紹介します。
●ライオンの調査
新型コロナウイルス感染症に対応した働き方などの変化が「睡眠の質」に及ぼす影響についての調査研究
●大塚家具の調査
睡眠に関するインターネット調査を実施
コロナ禍における日本人の睡眠 ベッド購入に対する意識が変化!?
ストレス世代・30~50代のベッド満足低い結果に
今年はやはりコロナ禍の影響で働き方が変化したことから、『西川 睡眠白書 2020』をはじめ他のレポートでもコロナ禍の影響と睡眠についてレポートされていますが、どのレポートをみても、睡眠の質が低下している傾向が強いようです。
コロナ禍による働き方の変化と睡眠の質の低下からみると、やはり日中の活動量の低下が睡眠の質の低下に大きく関係しているのだと思います。また、コミュニケーション量の低下や環境の変化によるストレスや不安も睡眠の質に、少なからず影響しているとも考えられます。
睡眠は「寝る」だけといったシンプルなアプローチではなく、日中の活動量はもちろんストレスなどのメンタル面、そして身体リズムなど、多くのことが関わっています。
そのため、睡眠改善のアプローチでは「これだけやればOK」みたいなものは存在せず、幅広いアプローチが必要になるため、ヘルスケアサービスのソリューションの提供という視点では、難しいテーマであることは事実です。
しかし、睡眠は多くの人が関心を寄せているテーマでもあります。睡眠改善に向けたトータルなソリューション提供は難しいとしても、限定的なソリューションあっても、課題を感じている人、求めている人をしっかりと見つけて提供できれば、まだまだビジネスの可能性が隠れています。
睡眠は難しいテーマですが、ソリューションの提供としてはまだまだ空白エリアが残っているテーマであることは事実だと思います。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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