『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“相談から口腔内チェックまで歯科のDXを実現 業界初・口腔内カメラを活用した『デンタルオンライン』提供開始”
~オンライン歯科相談サロンで歯科医とのビデオ相談が可能に~
アイリッジ社はメディカルネット社と共同で、オンラインの歯科相談サロンと歯科用口腔内カメラを活用した歯科向けオンライン診察サービス『デンタルオンライン』を提供開始します。歯科医院は『デンタルオンライン』を利用することで、相談受付から新規患者の獲得、通院開始後の口腔内チェックまで、トータルで業務のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現できます。患者は初診前に自分に合った歯科医院が選びやすくなり、通院負担も少なくなることから、居住地域にとらわれない良い歯科医院選びが可能になります。なお、歯科用口腔内カメラを通じた画像をもとに診察や相談を行う歯科向けサービスは業界初となります。
取り組みの背景
厚生労働省は2020年4月、新型コロナウイルスの感染が医療機関で広がるのを防ぐため、初回の診療からオンラインや電話で医師の診断などを受けられる仕組みを、歯科診療にも適用することを決めました。しかしながら、口腔内状態をスマートフォン等のカメラで鮮明に確認するのは難しく、既存の医科向けオンライン診療サービスでは診療を行える範囲が限られるのが現状です。メディカルネットが約200医院を対象に実施した調査では、そのような状況下で7割以上の歯科医院にコロナ下での患者数減少が起きており、歯科診療に適した専用オンライン診察サービスの開発が求められていると考えられます。
また歯科においては、医科に比べて自由診療を組み合わせた幅広い治療の選択肢があるのに対し、専門用語が並ぶ歯科医院のホームページ上の情報だけでは患者が治療方法や料金の違いを理解した上で歯科医院を選択することが難しく、受診に至るまでの患者側のハードルが高いという課題もありました。そこでアイリッジとメディカルネットは、受診の相談から予約、歯科用口腔内カメラを組み合わせた診察アフターフォローまでをオンラインで実現できる、歯科向けオンライン診察サービス『デンタルオンライン』を開発しました。
プレスリリースはこちら(株式会社アイリッジ、2021年2月12日発表)
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、口腔内カメラを活用した歯科医向けオンライン診療サービスに関するニュースです。
今回提供が開始した『デンタルオンライン』のサービスは、昨年2020年4月に新型コロナウイルスの感染に伴い、初回の診療からオンラインや電話で医師の診断などを受けられる仕組みであるオンライ診療に関して、厚生労働省が歯科診療にも適用することを決めた制度に合わせたサービスです。
このオンライン診療に関して、医療分野のみで歯科診療にも適応していること自体、今回のニュースで初めて知りました。
私の先入観かもしれませんが、歯科診療においては実際に口腔内を診てもらって直接治療することが必要だと日常的に思っていたので、オンライン診療で口腔内の診察が成立することが意外でした。
今回の『デンタルオンライン』では、口腔内カメラ「デンタルオンラインカメラ」を活用することで、歯科医師と患者が直接ビデオ通話を通して、リアルタイムに口腔内状況を確認しながら診察が可能なので、対面での診察と同じ環境が作りだせるとのことです。
また、『デンタルオンライン』では、口腔内カメラ「デンタルオンラインカメラ」といっしょに「デンタルオンラインサロン」も提供されており、歯科医と患者のマッチング機能やコミュニケーション機能など、歯科医院と患者を結びつける機能もいっしょに提供し、患者との接点づくりから診療までのプラットフォームを提供しています。
歯科のオンライン診療としては、口腔内カメラ「デンタルオンラインカメラ」だけの提供で良いのですが、やはり患者と歯科医院をつなぐ役割、機能を含めて提供することで、『デンタルオンライン』自体の価値が増すため、拡大につながることが見えてきます。
オンライン診療の機能としての口腔内カメラ「デンタルオンラインカメラ」と歯科医院と患者をつなぐ「デンタルオンラインサロン」との組み合わせによる提供は、『デンタルオンライン』を採用する歯科医院にとっては、新規患者を獲得するマーケティング活動としても期待できるため、単純なオンライン診療のシステムと比較されないサービスとして位置づけられるように思います。
売りたいもの、必要機能だけを提供するではなく、その周辺も含めてサポートすることで、競合との差別化はもちろん別の価値提供へとつながっていきます。今回のニュースから、あらためて差別化、独自のポジショニングに向けた価値提供の作り方、必要性を感じました。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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