『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“「生活習慣の変化とダイエットに関する調査2022」を実施
コロナ禍で3人に1人は体重が増加するも、4人に1人は計測習慣が見られず
10代では生活習慣の変化により、2人に1人の割合で体重が増減”
健康総合企業のタニタは、長引く新型コロナウイルス感染症拡大の影響で健康に対する意識が変化する中、「生活習慣の変化とダイエットに関する調査2022」を実施しました。
今回の調査で特徴的だったのは、コロナ禍による外出自粛やテレワークの浸透により、通勤や通学の機会が減るなど自宅で過ごす時間が長くなっていることによる身体活動量の減少や間食の増加などにより、3人に1人の割合で体重が増加していることです。これに伴い、全世代で「ダイエットの必要性を感じる機会が増えた」との回答が目立ちました。一方で、調査した4人に1人に計測習慣がないという実態も明らかになりました。生活習慣の変化では、特に10代にその傾向が顕著に現れ、就寝や起床時間が遅くなったことによる睡眠の質の低下、栄養バランスのとれた食事機会の減少、インスタント食品を摂る機会の増加などにより2人に1人の割合で体重が増減。健康面への影響が懸念される結果となりました。本調査は、全国の15歳から69歳の男女1,000人を対象に、2022年3月25-27日の3日間、インターネットリサーチにより実施しました。
体重が増加した要因は身体活動量の減少が大きく、その原因として30.6%の人が「コロナ禍で通勤・通学での外出の機会が減った」と回答しています。食習慣では、調査した26.6%の人が「間食の機会が増えた」、30.1%の人が「甘いものを摂る機会が増えた」と回答しており、コロナ禍で在宅時間が増えたことが間食頻度増加の原因の一つとして考えられます。このようなことから、全世代で「コロナ禍で体重が増えた」と回答した人は33.7%となり、増加体重の平均は3.4kgとなりました。
このような生活習慣の変化は、特に10代に顕著に現れました。具体的には、学校では多くの授業を対面からオンラインに切り替えたことから、42.8%が「通勤通学での外出の機会が減った」と回答したほか、運動教室やサークル活動が中止になった影響で「スポーツ・運動する量が減った」と回答した人の割合も40.4%と、いずれもほかの世代に比べ高くなりました。このほか、就寝時間と起床時間について質問したところ、「遅くなった」と回答した人はいずれも4割を超えました。この睡眠リズムの乱れから「寝つきが悪くなった」と回答した人が25.3%、「すっきり起きる回数が減った」と回答した人が30.1%にのぼり、睡眠の質の低下傾向が見られました。同じく食生活についても、「バランスの良い食事を摂る機会が減った」と回答した人の割合は19.9%、「インスタント食品を摂る機会が増えた」と回答した人の割合は32.5%と、いずれもほかの世代と比べて高い結果となりました。 このようなことから、10代では「体重が増えた」と回答した人が35.5%となる一方、13.3%が「体重が減った」と回答。10代のおよそ2人に1人に体重の増減が見られました。この体重増減者の割合は、ほかの世代に比べて高く、生活習慣の顕著な変化とあわせて健康面への影響が懸念される結果となりました。
ダイエット意識については、全体で「ダイエットの必要性を感じる機会が増えた」と回答した人が31.6%となり、10代女性(45.8%)と30代女性(45.2%)では4割を超えました。しかし、人気のダイエット法では「カロリー制限ダイエット」や「糖質制限ダイエット」が上位にランクインしており、極端な食事制限や適正体重を下回るダイエットは、健康を害する恐れがあるため注意が必要です。
このような体重やダイエットへの意識の変化が見られる中、体重測定の頻度を聞いたところ、「ほぼ毎日」と回答した人が18.6%と存在する一方、「全く測定していない」人の割合は4人に1人となる25.4%となりました。年代別にみると、「ほぼ毎日」と回答した人の割合は60代が31.9%と最も高くなり、10代(10.8%)と20代(10.2%)では低く、体重を測ることを日課にしている人は上の世代に多いことがわかりました。特に、20代では「全く測定していない」と回答した人の割合が40.4%と最も高く、体重を測定する習慣がない人が多いようです。
プレスリリースはこちら(株式会社タニタ 2022年5月24日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、タニタが実施した生活習慣の変化とダイエットに関する調査結果に関するニュースです。
今回の調査結果では、コロナ禍による外出自粛やテレワークによって、生活習慣が大きく変化し、体重が増加した人が3人に1人の割合ということです。
私の感覚からすると、コロナ禍によってもっと多くの人が体重の増加を経験しているのかと予想していましたが、1/3程度の割合ということで、そこまで多くない印象ですが、みなさんの感覚はいかがでしょうか?
しかし、「通勤通学での外出の機会が減った」「スポーツ・運動する量が減った」といった身体活動量が著しく減ったと回答した人が10代で顕著に高かったというのは、意外な結果です。
この10代身体活動量の低下は、睡眠リズムの乱れが影響して睡眠の質も落ちたことにつながっているようで、「寝つきが悪くなった」「すっきり起きる回数が減った」の回答した10代の人も多い状況とのこと。
生活習慣の変化に関しては、各年代ともに身体活動量が減った傾向かと私は予想しましたが、10代はそもそも他の年代と比べて身体活動量が多い生活習慣のところに、コロナ禍によってオンライン授業やサークル、運動の自粛、バイトも制限されたことで、一気に身体活動量が減ったということで、他の年代よりも身体活動量の減少率が大きかったのだと思います。
また、コロナ禍で睡眠の質が落ちたことを3割近くの10代の人が体感しているという結果は、身体活動量と睡眠のリズムが大きく関係していることを物語っているとあらためて感じしました。
さらに今回のニュースで注目すべきポイントとしては、3人に1人の割合で体重が増加し全世代で「ダイエットの必要性を感じる機会が増えた」との回答した人も多いのにも関わらず、4人に1人が体重を全く計測していないといった点です。
体重計測は、減量、ダイエットでは、外せない要素、取り組みの一つです。しかし、体重計測自体を敬遠したり、習慣化しないで、減量、ダイエットに取り組む人が多いのも事実です。
体重計測はただ単にデータを確認するだけの行為、作業ではありません。減量、ダイエットにおいては、取り組み自体を振り返り、取り組みを見直すタイミングとしても体重計測は機能するのです。
体重計測はデータのチェックするだけではない、振り返りの機能としての意味を持つことの重要性が伝わっていないことを今回の調査結果をみて感じました。
やはりヘルスケアサービスの様々な記録系サービスにおいては、記録する意味、記録、データの役立て方をしっかりと伝えることが、記録の継続を働きかけていく上では必要なのです。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
Comments are closed.