『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“さとえ学園小学校で「睡眠×データドリブン教育」授業実施”
~日本初の睡眠データに基づいた探究的な学習「スリープテックプロジェクト」~
東日本電信電話埼玉支店と佐藤栄学園は、2023年4月に締結した『最新テクノロジーを用いた次世代教育協創』の連携協定に基づく取り組みの第一弾として、日本初となる睡眠データを活用し個別最適な睡眠改善を探究する授業(スリープテックプロジェクト)を実施しました。
「次世代教育としての成果」と「授業実施による睡眠への効果」についてお知らせします。
1. 背景と目的
日本人の睡眠時間は大人も子どもも世界で最も短いと言われており、小学生の睡眠時間はこの30年間で年々減少している状況です。また、子どもの睡眠は、成長の面においてさまざまな発達と密接な関係があることが明らかになっており、睡眠不足によって体調不良や倦怠感、自尊感情の低下、脳の発達への影響も懸念されております。
一方、学校教育においては、子どもたちが自ら課題を見つけ、学び、考え、判断して行動する力の育成が求められております。 上記背景を踏まえ、「社会へ羽ばたいていく子どもたちが、自分の力で礎(頭・心・身体)を健やかに維持できる力を養うこと」を目的として睡眠データを活用した探究的な学習「スリープテックプロジェクト」を実施しました。
2. 取り組み概要
(1) 授業名称:睡眠データに基づいた探究的な学習「スリープテックプロジェクト」 (2) 実施期間:2023年10月19日~2024年2月末
(3) 対象 :さとえ学園小学校 4学年児童 78名
(4) 内容 :
睡眠測定デバイス『ブレインスリープコイン』を用いて睡眠データを取得し、感覚や経験に頼らず「データに基づいた個別最適な睡眠改善を探究」する睡眠教育を実施。
本取り組みを通じて、子どもたちおよび保護者に睡眠の大切さについて理解を深めてもらうと共に、データドリブンによる改善手法を身に付ける。
3. 取り組み結果
(1) 次世代教育としての成果 睡眠について知識を深く学ぶだけでなく、睡眠の質を可視化したデータを活用したことで、客観的・定量的な評価のもと子どもたち一人ひとりが個別最適な睡眠を探究する学びを実施することができました。また、睡眠を改善するための商品開発提案など、知る(探究)を活かしてつくる(創造)というSTEAM教育の要素を掛け合わせることで、未来の社会に必要な教育へのさらなる展開も期待できる取り組みとなりました。
(2) 授業実施による睡眠への効果 各月ごとの児童全体の睡眠スコア(アプリ上で定義されている点数)と深い睡眠時間の平均値が向上していきました。また、保護者と子どもへのアンケートから「家族で睡眠に関心を持って改善に取り組め、親子共に充実したプロジェクトだった」「目で見て確認できる事で睡眠に対しての意識が高くなった」などの授業に対する評価の声や、「寝つきが良くなってきた」「朝すっきり起床できるようになってきた」などの睡眠改善効果の声も得られております。
本取り組みによって、正しい睡眠の知識と睡眠への意識が向上し、子どもたちの健やかな成長につながる効果的な睡眠教育となりました。
プレスリリースはこちら(東日本電信電話株式会社 埼玉支店 2024年2月22日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目したのは、東日本電信電話埼玉支店と小学校が実施したデータに基づいた個別最適な睡眠改善を探究する睡眠教育に関するニュースです。
睡眠改善に向けたプログラムは、主に大人に向けた提供が一般的であり、小学生に向けた睡眠改善と教育をセットにしたのは珍しい取り組みだと思います。
今回のリリースの中で説明している通り、小学生の睡眠時間はこの30年間で年々減少している状況のようで、子どもの睡眠は、成長の面においてさまざまな発達と密接な関係があることが明らかになっており、睡眠不足によって体調不良や倦怠感、自尊感情の低下、脳の発達への影響も懸念されております。
睡眠不足による体調不良や倦怠感などは集中力の低下にもつながり、まさに大人と同じ状況が子供にも起こっているのです。
今回は、睡眠測定のデバイスを用いて睡眠データを取得し、感覚や経験に頼らずデータに基づいた個別最適な睡眠改善を探究する睡眠教育を実施したのが特徴的です。
というのは、学校の授業の中でも睡眠の大切さや重要なことは教わっているのですが、それは情報として提供されているだけであって、やはり自分のデータで睡眠の大切さや重要なことを体感、体験するのでは大きく異なってくるのです。
また、今回の取り組みは小学生の睡眠の改善といった側面以外にも、大人になった時に今回の体感、体感は活かされていく、本当の意味での健康教育として成立するような気がしています。
小学生の時から健康を学んで実践する機会が少ないことが、大人になってからの健康意識の低さ、ひいては生活習慣病予備軍を生み出してしまう一つの原因につながっているように私自身は感じています。
もっと小学生の時から健康を学ぶ、体感する機会を作ることが、大人になってからのヘルスリタラシーを高めることになるのだ思います。
そのためのヒントが、実体験から学び体感する今回の小学校での睡眠改善の取り組みに含まれているような気がしています。
正しい知識のみを提供すれば終わりではない、今回のニュースの中の「データに基づいた個別最適な睡眠改善を探究する睡眠教育」こそが、健康教育に必要なことなんだと強く感じています。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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