『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。

今回注目したニュースはこちら！
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“アプリデータで睡眠と栄養の関連を大規模調査”

食事管理や睡眠に関するスマートフォンアプリの4,825人分のデータを活用した大規模調査により、タンパク質の摂取量が多い人は少ない人よりも総睡眠時間が長いことや、食物繊維を多く摂取している人は総睡眠時間が長く、睡眠潜時（寝付き時間）と中途覚醒が短いことなどが明らかになりました。

ヒトが生きるために不可欠な食事と睡眠は、相互に関連することが知られています。一方、近年、健康の自己管理に活用できるさまざまなサービスや携帯アプリケーションが提供されており、利用者が自分自身の食事習慣や睡眠習慣を記録し蓄積することができます。

そこで今回の研究ではaskenの食事管理アプリ「あすけん」およびポケモンの睡眠ゲームアプリ「Pokémon Sleep」を同時に利用している人を対象とし、これらの利用データを用いて、栄養素と睡眠との関連を検討しました。分析には、「あすけん」で毎日の食事内容の記録から数値化された14項目の栄養素と、「Pokémon Sleep」でスマートフォンに内蔵された3軸加速度計データから得られる総睡眠時間、睡眠潜時、中途覚醒時間のデータを活用しました。同意を得られた利用者4,825人のデータについて、主要栄養素の相互依存関係を考慮して分析を行ったところ、①総エネルギーが高いほど総睡眠時間が短く、中途覚醒が長い、②タンパク質の摂取量が多い人は総睡眠時間が長い、③一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の摂取が多い人は睡眠時間が短い、④多価不飽和脂肪酸の摂取が多い人は睡眠潜時と中途覚醒が短くなるが、一価不飽和脂肪酸の摂取が多いと睡眠潜時と中途覚醒が長くなる、⑤食物繊維を多く摂取している人は、総睡眠時間が長く、睡眠潜時（寝付き時間）と中途覚醒が短くなる、⑥ナトリウム対カリウム比が高い（ナトリウム摂取が多い）人は総睡眠時間が短く睡眠潜時と中途覚醒が長くなること、が分かりました。

プレスリリースはこちら（筑波大学　国際統合睡眠医科学研究機構 2025年2月3日掲載）

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『mHealth Watch』の視点！

今回注目したのは、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構が分析し発表した、睡眠アプリのデータと食事管理アプリのデータからわかった睡眠と栄養に関するニュースです。

今回の分析では、食事管理アプリの「あすけん」の利用者で、尚且つポケモンの睡眠ゲームアプリ「Pokémon Sleep」を同時に利用している人のデータを使っているので、調査のためのデータではなく、普段の生活の中でのリアルなデータで分析しています。

今回の分析で明らかになった睡眠と栄養の関連は、以下です。

①総エネルギーが高いほど総睡眠時間が短く、中途覚醒が長い、
②タンパク質の摂取量が多い人は総睡眠時間が長い
③一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の摂取が多い人は睡眠時間が短い
④多価不飽和脂肪酸の摂取が多い人は睡眠潜時と中途覚醒が短くなるが、一価不飽和脂肪酸の摂取が多いと睡眠潜時と中途覚醒が長くなる
⑤食物繊維を多く摂取している人は、総睡眠時間が長く、睡眠潜時（寝付き時間）と中途覚醒が短くなる
⑥ナトリウム対カリウム比が高い（ナトリウム摂取が多い）人は総睡眠時間が短く睡眠潜時と中途覚醒が長くなる

これまで一般的には、食事と睡眠の関係については、食事時間、タイミングが睡眠に影響し、特に就寝前の食事が睡眠の質の低下を招くとも言われていました。

今回の分析結果では、食事の時間、タイミングではなく、栄養素と睡眠の関係が明らかになったのが注目すべきポイントなのですが、この関係性そのものが栄養が直接睡眠に関係しているのか、それとも別の関係性が存在しているのかが、私が気になっているポイントです。

例えば、今回の睡眠と栄養の関係で明らかになった上記６つの点の栄養については、食事、食生活を気にしている人、健康意識が高い人が食事面で実際に意識して食べている、制限していることではないかと思うのです。

そのため、食事面に意識を向けており実際に意識して食べてる人は健康意識が高いため、睡眠への意識も高く、睡眠のデータも良い傾向になるという仮説も考えられるのではないでしょうか？

この関係性はあくまでも私の仮説に過ぎませんが、今回の分析結果としての睡眠と栄養の関係性が明らかになっているので、栄養からの睡眠の評価はもちろん睡眠の改善に向けた食事、特に栄養からのアプローチという新しい切り口が見えてきた気がします。

快眠に向けた栄養指導といった新しいプログラム、サービスの可能性を今回のニュースをみてあたらめて感じたのです。

トライしてみても良いアプローチではないかと思っています。

『mHealth Watch』編集委員　里見　将史

株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。（一財）生涯学習開発財団認定コーチ。