『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“研究:ウェアラブルテクノロジーが禁煙に役立っている”
オックスフォード大学出版局の専門誌「Nicotine and Tobacco Research」で最近発表された新たな研究によると、ウェアラブルテクノロジーは、喫煙を止めたい人に、手から煙草を離すことを思い出させる手段となるかもしれない、と掲載した。
この研究は、Somatix社のウェアラブル・ボディ・モーション・ディテクター『SmokeBeat』が、小規模な実験グループで、喫煙行動の80%以上を正確に検知したことを明らかにした。Somatixからの発表によると、この研究は『SmokeBeat』のテクノロジーを使用した被験者たちが、顕著に喫煙率を減少させたことも明らかにしたという。
「禁煙治療にとって、これははるかに高い潜在性と有効性を持っていることになります」と、SomatixのCEOであるEran Ofir氏はコメントした。「今まで 喫煙習慣に関して知る唯一の方法は、患者に問診することでした。これは非常に主観的なものです。私たちは客観的に評価できるものを提供しているのです」
この製品はボディーモーションデータを利用して、非常に特殊な動作パターンを探し当てることによって、喫煙者が喫煙動作をしているかどうかを検知する。同社によると、この製品はまた、食べたり、飲んだり、髭を剃ったりするような手が口に及ぶ他の動作と、区別するようにも設計されているという。もしユーザーが喫煙していることを検知すれば、このデバイスはユーザーに確認のメッセージを送ることになっている。今後この製品は認知行動療法を利用して、ユーザーに個別的な介入を行なう。
研究著者でテルアビブ大学心理科学院のReuven Dar博士は、ある発表で「私たちはこの結果に感動しています。『SmokeBeat』のアルゴリズムは、喫煙行動の80%以上を正確に検知し、ほんのまれにしかフォールス・アラームを発しませんでした。自己報告群と『SmokeBeat』システムによる喫煙行動検知される群の両方によると、実験的状況にいる喫煙者たちは、顕著に喫煙率を減少させていることを示しましたが、同システムを使用しなかった対照群の喫煙率に変化はありませんでした。この結果が示唆していることは、生活改善のために変わろうとする動機を持つ喫煙者たちに対してなら、『SmokeBeat』の実時間処理の自動監視と通知の機能が、喫煙を容易に減少させるだろうということです」と述べた。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2017年11月7日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
健康経営など、法人向け市場でニーズが高いのは喫煙の改善です。喫煙による体への弊害は、喫煙者のほとんどが理解しているものの、いざ禁煙をと行動を初めても、ニコチン依存は根深く、達成できない人も多いのが現状です。
すでにモバイルヘルスを活用した禁煙プログラムは、国内でも実証実験が進んでいるのでご存知でしょう。オンラインプログラムでは、やはり認知行動療法がベースとなってきます。
今回紹介した『SmokeBeat』は、禁煙をしたいユーザーが、何気なくタバコを吸ってしまう行動を気づかせてくれるものです。スマートウォッチのモーションセンサーを使って、タバコを吸う動作をみつけ、注意喚起してくれます。
もちろん、この機能だけでは喫煙を阻止できるわけではありません。タバコを吸う動作がなければ
機能しませんし、そもそもスマートウォッチをしていない方の手でタバコを吸われては、検知できないでしょう。
ただし、今まで自分で事前に意識するクセをつけさせるまでだったものが、ニコチン依存でやっかいな、無意識に吸ってしまった人に寄り添える要素を組み込めたことは、かなりのステップアップと言えるのではないでしょうか!?
禁煙をしたくとも、禁煙の失敗を恐れ、禁煙行動に踏み込めない対象者も非常に多くいますので、挫けそうな気持ちに寄り添えるサービスが、今後の禁煙サポートのカギになるのではないかと思っています。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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