『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“瞑想アプリ『Headspace』、音声対応AIシステムのAlpine.AIを取得”
マインドフルネス瞑想アプリを提供するHeadspace社は、音声対応AIシステムのAlpine.AI社を買収した。これによりパーソナライゼーションと会話型製品の開発を進めていく。買収金額は明らかにされていないが、AlipineのチームはサンフランシスコにあるHeadspaceのオフィスに移動する予定。
「Alpine.AIは、ユーザーがGoogle HomeやAlexaなどの音声アシスタントを通して当社製品でより自然な会話のできる音声プラットフォームを劇的に改善する手助けをしてくれるでしょう。携帯電話を使うことなくHeadspaceを体験をしたいユーザーによって、驚くべき体験をしてもらうのにAlpine.AIは私たちを手助けしてくれるでしょう。システムは進化していますし、健康と幸福につながる全般的なガイドをするのに、基礎的な会話技術は重要なものだと思っています」とHeadspaceのチーフテクノロジーオフィサーPaddy Hannon氏は述べた。
Headspaceのチームでは、瞑想やマインドフルネスのコンテンツを表示する可能性のあるメディアとして、音声対応の技術の利用が進むとみている。
「Headspaceでは、いまそこにいる人たちと出会う取り組みをしており、ユーザーエンゲージメントを改善するのにデジタルアシスタント・プラットフォームの活用で成功を収めています」とHannon氏は述べた。「Alpine.AIでは、世界中で健康と幸福の水準を高めるというHeadspaceのミッションに高度なレベルで適合した会話型アプリケーションを作るプラットフォームを構築しました」
現在、Alpine.AIの技術はAmazon AlexaとGoogle Assistantに統合されている。Headspaceチームは、最終的に音声技術を通してユーザーが瞑想サービスとコミュニケーションできるようにしたいと考えている。
Headspaceが関係するこの夏のビッグニュースはこれが初めてではない。6月には、処方箋瞑想アプリを2020年までに製作する作業に集中するため、子会社のHeadspace Healthを立ち上げた。
同社では、この瞑想アプリでFDAの承認を獲得し、治験的にも有効な製品ポートフォリオの一部にしたいと計画している。この製品は今後リリースされる予定で、様々な慢性疾患を治療する設計がなされているという。同社は2019年のFDA申請を目指して、この夏に最初の標的とされた病状を対象に無作為抽出されたコントロール群による治験を開始した。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2018年9月5日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
米国ではスマートスピーカー市場が着実に伸びています。すでに米国の家庭20%が所有しているといわれます。ariztonの調査によると、2016年での市場規模は9.9億ドル、2019年に26億ドル、2022年に48億ドルへ、日本円にして5,400億円以上に成長すると予想しています。
この動きに合わせるように、ヘルスケア分野においてもスマートスピーカーの活用が進んでいます。生活習慣の改善のために、音声アシスタントを使って寄り添うサービスなどが登場してきています。
マインドフルネスを提供するHeadspaceも音声アシスタントの活用に乗り出しました。特にマインドフルネスの分野において音声アシストは相性がよいと思われます。瞑想体験している最中にスマホを操作することで、没入感が削ぐなわれることがありますが、もともとサウンドも併用する瞑想では、目をつむったまま操作ができる音声アシストは適しています。
ただ音声で操作するだけなら難しくないでしょうが、Headspaceが求めたのは、客観データにし難いマインドフルネスを、ユーザーと会話することで、ユーザーがどう感じ、次に何を求めるかを把握することだと想定されます。
今回買収したAlpine.AIは、VoiceLabsという社名で長年、音声をベースとしたサービス開発を手がけてきました。ショッピングの音声アシストでは話題になりました。Alpine.AIが培った自然な会話が、Headspaceが音声アシストを使う上で重要であると判断したのだと思われます。
スマートスピーカーなどの新しいメディアを導入する際、自社サービスとしてどう取り込むとユーザー利用率が上がるのか、検討しているよい事例になると思えます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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