『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Abbott、第2四半期の大幅な売上高増加を受けて『FreeStyle Libre』の製造を増強へ”
2019年第2四半期の大幅な売上高増加を受けて、Abbott Laboratories社は、同社のグルコース連続モニタリングシステム『FreeStyle Libre』の製造を大幅に増強することを計画している。
同社はこの3ヵ月の間に72.9%の売上増を果たし、全世界売上は4,300万ドルに達した。
CEO兼会長のMiles White氏は、そのシステムは比較的廉価であり、健康への影響が大きいことからますます多くの人に採用されるようになっていると考えている。「民間の薬剤保険を持った人には約75%が還付されるようになり、『FreeStyle Libre』は、米国でも素晴らしい進展を見せています。『FreeStyle Libre』は、ユニークな価値命題を提供しています。それはデザインの良さによるののであり、また、臨床上の有用性が大きく、価格を手頃に設定しているからです。消費者はその価値を認め、ますます多くの人が患者の現金支出を減らすのに役立つ『FreeStyle Libre』の還付請求をカバーする保険に加入しています」
その結果、現行製品に対する需要を満たすとともに最終的に『FreeStyle Libre2』の米国での発売開始の道を開くために、今後数ヵ月間は、システムの製造能力の増強にその努力を集中すると述べた。Abbott Laboratoriesは、3~5倍の製造能力増強を目指しており、今年末までに同システムの売上は15億ドルに達する見込みであると、ロイターに伝えた。
「その拡張の第一波はここ2~3ヵ月で実現し、その後段階的な製造能力の増強が続くことになります。糖尿病治療で助けを必要としている人は大勢おり、私たちはそうした皆さま全員に広く『FreeStyle Libre』が手に入るようにしたいと思っているのです」とWhite氏は述べた。
Abbott Laboratoriesはシステムの後継製品について、現在進行中の米国の規制当局への提出物、特に『FreeStyle Libre2』を統合グルコース連続モニター(ICGM)システムとして届出るという決定に関して、影響を与えるような規制上の問題は見込んでいないと、投資家に対し伝えた。
「ICGMの標準ならびに特別なコントロールは非常に明白であり、精度、警報、センサーの遮断などに関しては非常に透明なものです。そして、もしそうした特別なコントロールに欠けるものがあると感じたなら、ICGMを届け出ることなど致しません。事実、当局からICGMとして届け出るように勧められたくらいです」とAbbott Laboratoriesの社長兼COOのRobert Ford氏は電話で述べた。
Abbott Laboratoriesの『FreeStyle Libre』は、デジタル糖尿病市場の先駆者であり、状態を管理する患者の負担を大幅に削減することのできる製品の1つだ。市場に大量に出回り、保険適用する人が増え、システムの改訂版がスムーズに発売開始されると、より多くの患者がその技術を採用し、理想的には、高血糖値ないし低血糖値のイベントを避けることができるようになる。
さらに、同社は同じ低コストのコア技術を糖尿病以外の症状を対象にした別の装置にも適用する可能性を排除していない。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2019年7月17日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
今回ご紹介する『FreeStyle Libre』は、すでに日本でも「FreeStyle リブレ」として市場導入され、2017年9月よりすべてのインスリン治療を行う患者に保険適用されています。
『FreeStyle Libre』は、皮下に挿入したセンサーで間質液中のグルコース濃度を連続的に測定し、リーダーでスキャンすることで、連続測定したグルコース濃度の変動パターンを表示することができます。
糖尿病は、生活習慣をはじめ日々管理するものが多く、継続させるのが難しいと言われます。特に血糖値管理は少量ながらも血液採取が必要になります。これを日々やり続けることは相当なストレスになることが容易に想像できます。
『FreeStyle Libre』は、2週間に渡りデバイスを腕に刺したままにすることで連続計測を可能にしてくれます。装着したままでも違和感をほとんど感じさせないことに成功した製品です。
まずはハードルとなる採血のストレスを軽減したなら、次は数値変動まで意識しなくならないよう気づきを与えていかないとせっかく連続計測している意味がなくなります。何か1つ解決して終わりではない、この難しいバランスを取っていくことが、糖尿病管理のポイントなっていきます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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