『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“UnitedHealth、ヘルスリテラシーへの投資は数十億ドルを節約できる”
UnitedHealth Groupの新しいレポートによると、ヘルスリテラシーを向上させると、数十億ドルの節約につながる可能性があると報告した。
UnitedHealthの研究者は、メディケア&メディケイドサービスセンターやロバートウッドジョンソン財団などの多くの情報源からのデータを検討し、ヘルスリテラシーが最も高い群に住む高齢者の方が良い結果が得られることを発見した。
パフォーマンスが最も高い群では、パフォーマンスが最も低い地域に住む人々の36〜59%と比較して、居住者の15〜27%がヘルスリテラシーが低いと予測された。
ヘルスリテラシーの高いこれらの地域に住む高齢者は、インフルエンザの予防接種が31%増加し、回避可能な入院が26%減少、救急科への訪問が18%減少した。さらに、レポートによると、ヘルスリテラシーの高い地域の高齢者は、入院が9%少なく、1人あたりの医療費が13%低くなっていた。
UnitedHealthは、ヘルスリテラシーの向上に重点を置いた場合、メディケアは毎年254億ドルを節約し、993,000回の通院を回避できると算出した。レポートによると、さらに細かく分類すると、プログラムは820,000の通院、93,000の入院、および80,000の再入院を回避することができるとした。
「ヘルスリテラシーを向上させる実践とシステムに投資することは、高齢者に限らずすべての年齢層に利益をもたらすでしょう」と研究者たちはまとめた。
記事原文はこちら(『FierceHealthcare』2020年10月26日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
「ヘルスリテラシーは大切」と言われていても、あまり導入されていない印象があります。
例えば企業で見ていくと、健康保険組合が発信するものがすべてとなり、健保通信などがペーパーで配布されたり、メールで届いたりするようですが、しっかり目を通すのは一部の健康リテラシーが高い人に限られるようです。
ここ数年、健康経営を導入する企業であれば、ヘルスリテラシーにつながる仕掛けをしている企業も増えました。階段を使うことを推奨したり、スタンディングデスクを導入したりと各社工夫しているのが見られました。
しかし、COVID-19により在宅ワークが増えたり、地方勤務の方でも車通勤を推奨したりするなど、今までのヘルスリテラシーによる効果は減少している企業も出ています。
では企業単位ではなく、もっと広く地域などではどうでしょうか?障害を持った方にも利用しやすい街づくりは見られますが、ヘルスリテラシーを高めるためとなると、よくて公園に健康遊具を置いたり、ウォーキングコースを作ったりと、健康活動をしようと思った人だけが活用できるものになっているのではないでしょうか?
ヘルスリテラシーは具体的な健康プログラムと違って、即効果が生まれるものではありません。そのため、ヘルスリテラシーの価値が見えないと予算を付けにくいという難点もあります。
今回の記事では、改めて「ヘルスリテラシーは大切」と言われてきたことをUnitedHealthが証明してくれました。医療費に結びつけた数値となりますが、かなりのインパクトとなります。
日本においては、医療費削減の視点からも、国主導でヘルスリテラシーに力を入れることで大局的に結果をみていく取り組みに向かってもよいのではないかと思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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