『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「
今回注目したニュースはこちら!
==============================
“東大と慶大と理研、
~1週間貼り続けても炎症反応がないため、長期生体計測への応用に期待~
科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業において、染谷 隆夫博士(東京大学 大学院工学系研究科、理化学研究所 染谷薄膜素子研究室、同研究所 創発物性科学研究センターを中心とした研究チームは、天谷 雅行 博士(慶應義塾大学 医学部、理化学研究所 統合生命医科学研究センター)らとの共同研究で、1週間皮膚に貼り続けても明らかな炎症反応を認めない上に、装着していることを感じないほど超軽量で極薄のナノメッシュ電極の開発に成功しました。
この電極は生体適合性の高い金と高分子(ポリビニルアルコール)に、ナノサイズのメッシュ構造を持たせたもの(以下、ナノメッシュ電極)で、少量の水で簡単に皮膚に貼り付けることができます。20人の被験者に対して1週間のパッチテスト(かぶれと皮膚アレルギー試験)を実施したところ、明らかな炎症反応を認めないことが示されました。このような高い生体適合性は、今回のナノメッシュ構造が高いガス透過性を持っていることによって自然な皮膚呼吸が実現されたことによるもので、従来のフィルム型やゴムシート型では実現することはできませんでした。
さらに、このナノメッシュ電極を用いて金属などの導体に触れたり、離したりしたときの抵抗変化や温度、圧力センサーの動作実証、また、腕の筋電計測を実施し、生体計測への適用可能性も実証しました。1週間貼り付けても炎症反応を起こさず、装着感がない電極は、医療の現場での長期測定や、スポーツにおける動作の詳細な分析を実現する上で必要不可欠な技術で、今後さまざまな応用が期待されます。
ニュースリリースはこちら(東京大学科学技術振興機構(JST)、慶應義塾大学、理化学研究所、2017年7月18日発表)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点!
今回注目するニュースは、皮膚呼吸が可能な皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーの開発に関してです。
これまでに多くの貼り付け型のセンサー、シート型のセンサーのニュースをこのmHealth Watchでも取り上げてきました。これまでの貼り付け型、シート型のセンサーと今回のものとで大きく異なるのは、皮膚呼吸が可能なため炎症反応が起こりにくく、長期間に渡って皮膚に貼り付けてセンシングが可能になるという点です。
これまでに開発されて貼り付け型のセンサー、シート型のセンサーの場合、やはり肌の炎症反応によるかぶれなどによって、1週間などの長期間に渡る計測が難しいことやバッテリーの問題など、まだまだ課題が多いのが現状でした。
特に、医療分野におけるデータの収集では1週間以上の長期測定が求められることが少なくないことやスポーツ分野では、やはり汗の問題などによる炎症反応による肌への影響の障壁が、研究段階から実用へと一歩抜け出すポイントになっていました。
今回の皮膚呼吸が可能な皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーの開発に成功したことは、これまでの肌への影響に関しての課題のクリアにつながっていくと思います。今後は、おそらくこの長期間計測が可能な特性を活かして、どんなデータをセンシングして、最終的にはどんな課題の解決に繋げていけるのかというステージに入っていきます。
センシング技術の先には、やはりソリューションとの組み合わせが必要になってきます。そのためにも、これまでの枠、領域にとらわれない、柔軟な発想による技術とソリューションの組み合わせこそが、新しい課題の解決に繫がると思います。
今回開発に成功した皮膚呼吸が可能な皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーは、多くの可能性を秘めていると思うので、今後の応用・展開が楽しみです。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、
Comments are closed.