『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“調査:経済的圧力があるにもかかわらず、雇用主の90%がウェルビーイングプログラムを継続へ”
新しい調査(雇用主184人へのアンケート)によると、雇用主は厳しい経済情勢に直面しているが、雇用主の10人に9人が、そのことは従業員のためのウェルビーイング(福利厚生)プログラムへの投資を減らすことにはつながらないと回答した。また、10社中3社がウェルビーイングプログラムへの投資を増やす予定と答えた。
雇用主は今後3~5年間、ウェルビーイングへの投資を維持しようと考えているが、ウェルビーイングの一部の領域は他の領域よりも重視されることが調査から判明した。回答者の約74%が「メンタルヘルスを充実させる」、53%が「ファイナンシャルウエルネスを充実させる」、52%が「ワークライフバランスを充実させる」、50%が「フィジカルヘルスを充実させる」と答えた。
メンタルヘルス、フィジカルヘルス、ファイナンシャルヘルスは、いずれもウェルビーイング戦略の共通部分だ。しかし、雇用主はこれらの分野以外も充実させようとしていることが、今回の調査で明らかになった。回答者の約82%が、2022年の70%に対して2023年には「社会とのつながり」に焦点を当てると回答した。また、「コミュニティ」に注力すると答えた人は79%で、昨年の67%から増加している。
また、パンデミック時に打撃を受けたいくつかのウェルビーイング・イニシアチブが復活しつつあることも報告されている。約61%の雇用主が、2022年には22%であったヨガや瞑想のクラスを提供する予定であり、60%がフィットネスクラスを(前年25%)、62%が健康フェアを(前年6%)、35%がカウンセリングやセラピーを(前年18%)、提供する予定となった。
グローバルに事業を展開する回答者は、ウェルビーイングの提供において一貫性を保つことにも努めている。 80%の回答者が、グローバルな一貫性のあるアプローチを持っている、または開発中であると回答した。しかし、63%の回答者が従業員のニーズは国によって異なるとし、38%がグローバルなソリューションを提供するプロバイダーが不足していると回答していることから、一貫性を保つことは難しい課題であると言える。
ウェルビーイング・プログラムへの参加を促す金銭的なインセンティブが一般的になりつつあることも、今回の調査で明らかになった。回答者の約73%が2023年に金銭的なインセンティブを提供すると回答しており、昨年の68%から増加している。これらのインセンティブは通常、ギフトカードやHSA(医療貯蓄口座)の資金という形で提供される。雇用主は今年、従業員1人当たり平均716ドルのインセンティブを提供し、昨年より13%減少しした。
記事原文はこちら(『MedCity News 』2023年5月18日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
今回の調査で本文に書かれていた“Wellbeing Programs”とは、内容から推測するに、以前は“Wellness Programs”と呼ばれてものの発展形であると思われます。
上記文章内では誤解を招くといけないと思い、“ウェルビーイング(福利厚生)プログラム”と書きました。単純に日本で言われる福利厚生とも違うので“福利厚生プログラム”とは訳しませんでしたが、(福利厚生)を入れないと、“ウェルビーイングプログラム”と言う新たなものが導入されているようにも見えます。なかなか難しいところです(苦笑)
今回の内容から、米国企業が従業員向けに提供している“Wellbeing Programs”は、以前の“Wellness Programs”に社会性や取り組みの先にあることなど、ウェルビーイングの要素を加えたものであると捉えることができます。
ウェルビーイングの解釈の仕方、捉え方は国によって違いがあります。また特徴として、何か1つの状態を表すのではなく、多様であり、その多様性を1つのワードとしているのがウェルビーイングとなります。
「米国でウェルビーイングプログラムが流行っているから、日本でも展開しよう」
と言った短絡的な発想から登場したものは、市場の背景を考慮した展開ができず浸透しにくいものです。
海外で紹介されるものに“Wellbeing”が出てきたときには、日本で主に解釈されている“ウェルビーイング”とは別モノであるとのスタンスで読み解き、本質から何を学ぶべきかを見極めていく必要があります。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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