2月17日、ビジネススペース「AP東京八重洲通り」にて日本医療研究開発機構・産業技術総合研究所主催の『ヘルスケアソフトウェアカンファレンス』が開催され、1日で総勢10組もの演者が登壇されました。
mHealth Watchでは、サスメド合弁会社の代表である上野太郎医師による『疾患治療を目的としたソフトウェア開発と臨床試験』の取材レポートをお送りします。
『疾患治療を目的としたソフトウェア開発と臨床試験』
サスメド合弁会社 代表・医師 上野太郎
睡眠医療専門の医師である上野氏は、日本の不眠治療の課題を提示。日本での不眠治療は、睡眠薬に依存している(アメリカの6倍)。しかし、睡眠薬による治療では、半分程度しか効果がないうえ、ほとんどがリバウンドしてしまう。アメリカでは薬を使った治療が行なわれないのは、薬による副作用が問題となっているためだ。認知症が進行したり、転倒などの危険もあるというエビデンスが発表されている。
アメリカでの治療法は、主に認知行動療法が行なわれ、現在はもっとも効果的な治療法とされている。一方、日本では認知行動療法がほとんど用いられていない。理由は、保険点数が付かないためである。認知行動療法を行なう臨床心理士は国家資格ではないため、医療点数化できないのだ。そのため、多くの病院で認知行動療法の導入が進んでいないのが実態。
東京は世界的に見ても、もっとも睡眠時間が短い都市である(数値)。少ない睡眠時間は、癌の発生リスクになることがエビデンスでわかってきた。その他メンタルへの影響も大きい。結果、睡眠障害による日本の経済損失は年間3.5兆円になっている。
現在、サスメドでは、認知行動療法による治療をソフトウェアで行なうための開発を行なっていて、ソフトウェアで薬事許認可を得ることを目的としている。そのためにもエビデンスをしっかり取っていき、医師主導治験を行なう予定。ソフトウェアなので、検証的試験のみを行ない、アウトカムは病識(主観的)、うつ病の尺度となるプロトコルを、眠気は「PVT」というテストで評価していく、とした。
mHealth Watch取材(2月17日)
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