『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“2013年に出荷されたスマートバンドは160万に”
ウェアラブルバンドの出荷は、2013年下半期に劇的に増加した。Fitbitがウェアラブルバンド市場で新たな市場リーダーとなったのは、2013年5月と10月にそれぞれ、手頃なFlexとForceバンドをローンチしたためである。同社はベーシックなバンドで市場を支配しており、この年の下半期市場シェアは50%になった。同時期にSamsungは、スマートバンドの出荷数で過半数のシェアを占めた(Canalys社による市場調査による)。
Canalysのバイスプレジデント兼主席アナリストChris Jones氏は、「Samsungは強力なマーケティングを展開して『Galaxy Gear』をローンチし、消費者の関心をかなり集めた。この機器の出荷により、Samsungはスマートバンドのカテゴリーでトップ企業となったが、販売数は予想を下回っているため、今後数ヵ月はさらなる販促活動が必要になるだろう」としたうえで、「ベーシックなバンドのベンダーは、ウェアラブルについてかなりの専門知識を持っており、これまで相当数を出荷してきたが、一方のスマートバンドは急速に成長している。さらに、ふたつのカテゴリーが収束していくなかでスマートバンドはベーシックなバンドの機能も取り入れるようになっていくだろう」と述べている。
ウェアラブルバンドは現在のところフィットネス愛好家向けに相対的に小さな市場を対象としているに過ぎないが、医療、健康分野でも大きな事業機会があることを示している。2014年は、スマートバンドの出荷数が年間800万台に達するとみられているなか、ウェアラブルが中核的な消費者向けテクノロジーになる年となるだろう。Canalys社の予測によると、この数字は2015年までに2300万台、2017年までに4500万台になるという。
Canalys社のアナリストDaniel Matte氏「ウェアラブルバンド市場とは、健康のコンシューマライゼーション(消費者向け商品化)そのものである。今年は医療業界を破壊するような、わくわくするイノベーションが起きるだろう。そして、個人の健康に対する認知が高まるにつれて、こうした機器がユーザーにもたらされ、手首にコンピュータを身に着けることが日常になるだろう」と述べている。Canalys社の予想では、洗練されたセンサー技術が内蔵されている高マージンのスマートバンドのおかげで、ベンダーは潜在的に莫大な利益を得られるという。
「Androidは、スマートバンドアプリのエコシステムを作り出すのに重要となるだろう。しかし、これがウェアラブル端末に相応しいものになるには相当の変更が必要になるだろう」としたうえで、「Canalys社では、Androidが意味のある方法でスマートバンド市場にまもなく進出してくると予想している。電池寿命とセンサーデータの品質がすべてのスマートバンドの成功に欠かせないだろう」と、Matte氏は述べている。
記事原文はこちら(『Canalys レポート』2月12日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
2月になり、昨年後半の出荷台数の情報が調査会社から発表されるようになってきました。このレポートで取り上げられている「ベーシックバンド」とは『Nike FuelBand』や『UP by Jawbone』のような活動量、睡眠計のことを指し、「スマートバンド」とはSamsungの『GALAXY Gear』などのヘルスケアデータ以外のメールや音楽もコントロールできるデバイスを指します。
スマートバンドの出荷台数が160万個で、グラフにあるSamsungの比率54%から計算すると約86万個を出荷したことになります。それぞれ見ていくと個別の数値が見えてきます。
とは言え、すでに「ベーシックバンド」と「スマートバンド」の境界は曖昧になってきています。今週バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2014」で発表されたウェアラブルデバイスも、両機能を含んだものが当たり前になってきています。開発者視点では、他社との差別化として両機能の組み合わせを行なってきたが、結果、皆同じになってきているとの印象を受けます。
機能への驚き、好奇心だけでは、ヘルスケアに求められる継続支援に結びつけるのが難しいと言えます。これを使って、ユーザーが長期間利用してくれるのか、サービス視点での検討が益々重要になってくるでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
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