『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“来年、英国の医療&健康mHealth市場は倍増する”
Kantar Mediaは新しいレポートで、イギリスの医療・健康用ウェアラブル市場規模を2.25~3.75億ポンドの間、つまり3.60~6.01億ドルの間と見積もっている。それによると2015年までにイギリスの1,310万人が医療・健康用ウェアラブルを利用し、これは現在歩数計やフィットネスレベル、心拍数などを常時測っている人の数670万(英国民の約1割)の2倍以上となる。
Kantarの市場分析は、無料アプリと有料アプリ、それにデバイスを含んでいる。この調査は、英国全土から16歳以上の2,000名を対象に実施された。そのデータを元に見積もると、この670万人のうち、半数が無料アプリのみを使っている。そしてお金を払った残り半分のうち79%、およそ260万人がデバイスの利用者だ。無料アプリと有料の両方を使っているのは7%であり、これを差し引くと有料アプリのみを日々の健康管理に使っているのは28%で約100万人となる。
この調査でもっぱら無料アプリを使っていると回答したユーザーは、将来有料版のアプリを購入するつもりがあると述べている。その内、84%が将来デバイスや有料アプリを購入するだろうと回答。そして、2015年までにウェアラブルテクノロジーを導入したいと答えた内の88%が、おそらくデバイスを買うだろうと答えている。
Kantarはまた、Google Glassに代表される眼鏡型デバイスへの関心の高まりも示している。すでに医療・健康用ウェアラブルテクノロジーを利用している人々の15%がスマートグラスに興味があると答えており、来年までにウェアラブルテクノロジーの利用を検討している回答者は30%にのぼる。この人たちは他の種類のスマートウェアラブルにも興味があると回答。現ユーザーの12%と2015年までのユーザーの21%が「スマートジュエリー」の購入を検討しており、現ユーザーの22%と2015年までのユーザーの32%が「スマート衣服」に、現ユーザーの27%と2015年までのユーザーの30%が「スマートシューズ」に着目している、と答えている。
記事原稿はこちら(『mobihealthnews』10月22日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
今回は、英国のモバイルヘルスに関する関心度に注目しました。Kantar Mediaのレポートを見ていると、全体としてモバイルヘルスに関する興味が高まっているのが見受けられます。
英国は米国と違い、医療保険制度が充実しています。医療保険が充実していると、日本のように「なにか不調を感じたら、すぐに病院に行けばいい」、結果として「予防行動はあまり率先して取り組まない」イメージを持たれやすいですが、国営医療サービス(NHS)が提供する予防情報サービス『NHS choices』を活用し、利用者の25%が通院頻度を下げ、医療費削減に貢献した実績があります。日本とは国民性が違うのかもしれませんね。
興味深いのが、“無料アプリから将来、有料アプリに切り替える、またはデバイスを購入したい”と思っている人が多いことです。特にデバイス購入がなかなか進まない日本では、意外な結果のように思われるのではないでしょうか?
先日、ヨーロッパ方面数ヵ国に出張された方に、ウェアラブルの浸透度合いを教えてもらいました。特に日本との違いを感じたのは家電量販店だそうです。「入口からスマートフォンやタブレットが並び(この辺りは日本と同じですね)、続いてウェアラブル(特にスマートウォッチ)が大きな面積を占めている。それ以外は他のフロアに展示されていた」とのことです。日本と違い、ウェアラブルが一般的な注目を集めているのがうかがい知れます。
では日本はこのままなのか?
おそらく日本の場合、やはりApple Watchから一般に対してスマートウォッチの認知が広まるのでないでしょうか。今までウェアラブルガジェットを持ったことのない人が購入し出します。その時、どんなサービスを提供できるかが、差別化のポイントになるのではないでしょうか。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
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