PricewaterhouseCoopersの調査によると1年後、ウェアラブルデバイスの所有者の1/3は、デバイスを使用しなくなることが予想されている。顧客が身に着けてくれなければ、大量生産されるようになったデバイスの価値はなくなってしまう。さらに、プライバシーの問題もある。医療保険の携行性と責任に関する法(Health Insurance Portability and Accountability Act【HIPAA】)という患者データと医療記録を保護する法律は、ユーザーが生み出すウェアラブルデータには、まだ適用されていない。そして、この情報を集めたり販売したりするのは、データブローカーやハッカーなどにとって、一種のブームとなっている事業である。
こうした障害を取り除くため、Appleのウェアラブル戦略はApple Watchを超えたところまで広がっている。同社の計画は、HealthKitで決まる。9月に行なわれたAppleのiOS 8リリースの一環で、HealthKitは一種の神経中枢の役割を果たすと見られ、デバイスやアプリメーカーに対し、潜在的に興味深い新たな方法で集めるデータをシェアさせるものだ。スマートウォッチから集められる心拍数データは、スマートシャツなどから入手される呼吸器関係データと合わせて、心臓発作や脳卒中が起きるかもしれない、という情報を医師に送って警告を発する。
可能性は、ほぼ無限大だ。その理由は、HealthKitはいつの日か、健康状態の意味のあるスナップショットを医師、緊急対応スタッフ、病院、個人的な訓練スタッフに配信できるからだ。これにより、App StoreのHealthに特化したサービスを生み出すが、Appleが約束するように、そのデータは最高値の入札者に販売されることはない。Appleは、Mayo Clinicと電子医療記録大手Epic Systemsと提携することで、このプロセスをすでに開始しており、あらゆる健康データを医師の手にもたらそうとしている。
Fitbitはなにも語っていない。唯一の手がかりは、同社がHealthKitとの統合を拒絶したことで、自社デバイスやソフトウェアに全面的に依存する独自のアプローチであることを示唆している。同社はすでに「Fitbit Premium」という、個人用トレーナーとして使える月50ドルのサービスを提供している。このサービスは、Fitibitのデータのみに依存しているが、同社の製品ラインは、優れたセンサーの付いた『Surge』など、多くのデバイスを含むことになろう。弊誌の問い合わせに対し、Fitbitからの回答はなかった。
HealthKitでAppleと提携しているJawboneは、デバイスメーカーというよりサービスプロバイダーとして自社を位置付けている。Jawboneは9月、AppleのHealth、Androidのウェア対応デバイス、Pebbleのスマートウォッチに対し、ソフトウェアプラットフォームを開始した。
Jawboneの製品管理部門のバイスプレジデントTravis Bogard氏は、「当社のビジョンはハードウェアでの競争に打ち勝つことではありません。他社より多くの製品を動かすことでもありません」としたうえで、「当社のシステムをオープンにすることで、他社のイノベーションを取り入れることができます。そして、さらに強力なコミュニティーを構築できるのです」と表明している。
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