『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“Dexcom、データ共有血糖モニターアプリがFDAの承認を得る”
Dexcomは、持続的に血糖モニターをサポートするモバイルアプリとして初めてFDA(米食品医薬品局)の市販前認可を獲得した、画期的なアプリとなった。これは高血糖のような合併症を予防するためにケア管理者や近親者がグルコース値をより簡単に監視できるようにする大きな動きの一部だ。高血糖はアメリカでは2,580万人の糖尿病患者を襲い、医療費を増大させかねない。
昨年10月にFDAの認可を得た『Dexcom Share charging cradle』と違い、この『Dexcom Share Direct Secondary Displays system』専用アプリは、iOSネットワークの2台のスマートフォン間のデータ共有に大きな柔軟性を持たせている。CGM(持続的血糖モニター)デバイスを持つ人は定常位置に待機する必要があるため、Dexcom受信機は机など、固定位置にドッキングしなければならない。
FDAによれば、同アプリは以下のように作用する。
患者の皮膚のすぐ下に、センサー付の針を挿入し、測定された血糖値が『G4 Platinum CGM System(CGM受信機)』に送られ、そのデータをふたつの『Dexcom Share System』アプリが表示する。アプリのひとつは患者のモバイル端末に、もうひとつは介護者や近親者など、もうひとりのモバイル端末にインストールされる。ユーザーはこのCGMデータを受け取る人を指定できる。同アプリは 『G4 Platinum System』からCGMデータをリアルタイムで直接受信し、Webベースのストレージがある場所に送信する。介護者のアプリはCGMデータをリアルタイムでダウンロードし、表示できる。
FDAの体外診断薬・放射線保健室長のAlberto Gutierrez氏は、「この画期的な技術は糖尿病患者の間で待ち望まれていたものです。特に糖尿を患う子供の介護者でグルコース値を離れた所からモニタリングしたい人達が待っていました。今日、市販が許可されたことで、米国内で同様の技術が市販される道が開かれました」。
FDAは同アプリを市販前の提出の必要がないクラスIIの装置と分類。これにより、Dexcom Share Systemのような装置を市販したい企業は、市販前のFDA認可の課程を飛ばすことが可能になる。まだ、同局に装置を記載登録する必要はある。
記事原稿はこちら(『MEDCITYNews』1月23日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点
以前から、医療に関連するデバイスは認可が必要ですが、ここ数年問題になっていたのが“アプリ”の位置付けです。アプリ(及びクラウド)により可能性が広がった分、医療認可が必要なものの線引きが難しくなっています。日本でもいわれる「グレーゾーンの解消」を担っているのがFDAです。
すでに多くのモバイルヘルスに関わるデバイス、アプリが認可されているわけですが、今回取り上げたDexcomの血糖モニターアプリは注目に値するでしょう。それは、デバイス利用者がデータの確認にアプリを用いるのは今や当たり前ですが、上記のニュースで紹介されたように、介護者でも共有できる専用アプリがあることです。そしてFDAが同アプリを「市販前の提出の必要がないクラスIIの装置と分類した」ことが挙げられます。
糖尿病は日々の管理と生活のコントロールが必要になりますが、患者のすべてが自分で管理できるような成人ばかりではありません。子供や高齢者などは家族の助けが必要になります。介護をする家族の負担を和らげるものは、速やかに導入されるのが望ましい、とFDAも判断したのではないでしょうか。
先日発表になった、認知症に関する国家戦略でも、手薄だった初期支援の充実を検討していくことになりました。まさに不安を抱える家族に向けた取り組みともいえます。
今後のモバイルヘルスでは、“介護家族”に着目することで、導入の現実性を高めたものが開発できるのではないかと思っています。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
Comments are closed.