『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“iGetBetter、退院後の患者をモニタリングするアプリや接続機器で1,100万ドルを調達”
マサチューセッツ州Sudburyを拠点とする会社iGetBetterは、遠隔患者モニタリングと退院後の患者との交流を通し、再入院率低減を目的として、個人投資家より1,100万ドルの調達に成功した。
同社によると投資者は、個人投資家と会社の経営幹部で構成されているとのこと。同社の投資総額は2,600万ドルにのぼる。
iGetBetterのプラットフォームでは、医師が作成した退院後のケアプランに患者がモバイル機器やオンラインからアクセスすることが可能になる。アプリや電話を通して患者に状況を知らせするシステムだ。医師のプランによっては患者がデジタル形式の質問に答えたり、ウェアラブル端末で取得したバイオメトリックデータを収集し、医師に送信もできる。Validicを使ってWithingsやiHealthなどのデバイスと接続し、遠隔患者モニタリングを行なう。
iGetBetterのCEO、Win Burke氏は、「我々は、モバイル機器や家庭用バイオメトリック機器を使いながら、患者が各々のケアプランに従事してもらうことによって病院、責任医療組織(ACO)、医師のプラクティスグループ等ヘルスケア提供者のコスト削減をお手伝いしています」と声明の中で述べた。「臨床医が患者の自己報告データと同時に、患者のバイオメトリックデータもモニターでき、不必要な再入院や外来診療を避けたい時に介入することが可能です」。
同社によると、そのテクノロジーを用いたパイロット版の多くが進行中、あるいはすでに完成しており、調達した資金は成功を収めたパイロット版を商業リリースへと移行していくために使われるとのこと。6つのヘルスシステムを備えたパイロット版は既に完成しており、そのうち2つは取引先と契約済みだ。その他は鬱血性心不全、人工膝関節全置換及び人工股関節全置換、肥大型心筋症、高血圧、糖尿病、うつ病などに対し、準備が進められている。
Burke氏は、「我々はヘルスケア提供者と行なった最初の年に大変満足しています。そして初期のパイロット版がiGetBetterシステムの商業展開へと移っていることに喜ばしく思います。我々はこれらを完成させ、2015~2016年に成長段階へと進めていくことを楽しみにしています」と述べた。
記事原稿はこちら(『mobihalthnews』2月19日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
医療費削減、人員不足問題など、モバイルヘルスの医療への活用検討が進んでいます。今回紹介したiGetBetterの取り組みは、退院後の患者をモニタリングすることで、再入院や不要な外来診療を減らすためのものです。
iGetBetterの取り組みでのポイントは、『Validic』のようなデジタルヘルスプラットフォームを使うことで、ユーザーが無駄にデバイスを買い足さなくても、バイタルデータを取得し、医師と共有できること。もうひとつは臨床医、患者の視点に立ってユーザビリティを追求したケアプラン作成コンテンツを、疾病ごとにチューニングして提供していることです。このケアプランにiGetBetterの独自性があります。
ヘルスケアにおいてITを活用した新たな取り組みを考える時、プラットフォームを新規で用意しようとすることがよく見られます。そのプラットフォームの設計、開発に時間、費用が取られ、他との差別化が明確に打ち出せないケースがあります。
iGetBetterは、2013年に設立された社員数も10名以下のベンチャー企業です。ベンチャー企業の規模でも、独自性を明確に打ち出すことで、医療施設に導入できるような管理システムを提供できます。プラットフォームはすでに多くの企業が提供しているので、それらをうまく活用し、他社にない独自性に磨きをかけることがヘルスケア市場では重要と考えます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
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