『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“Noom、慢性疾患向けコーチングアプリに100万ドル調達”
ニューヨークに拠点を置く健康アプリメーカーNoom社は、110万ドルの追加出資を受け、出資額1,610万ドルとなった。最大の出資者は、韓国に拠点を置くベンチャーキャピタル企業Intervest社、その他はLB Investment社、Hanmi IT社(Pharmaceutical社の子会社)、RRE Ventures社、TransLink Capital社、ならびにQualcomm Ventures社である。
最初の1,500万ドルは、1月上旬に投稿されたSEC提出で明らかとなった。今回の110万ドルで同社の総資金は、少なくとも2,570万ドルとなる。
製薬企業であり、戦略的投資企業でもあるHanmi社は、Noomと提携して同社のBtoBの生活改善プログラム『Noom Health』と自社の医薬品を組み合わせることを計画している。
NoomのCEO、Saeju Jeong氏によると、企業による慢性疾患患者へのケアをサポートを目的とする『Noom Health』は、システムと人間による介入を統合し、患者の症状改善に取り組む。Jeong氏が言うには、同社のコンシューマーアプリへの取り組みより得られた最高のサービスも提供するが、それらの機能は『Noom Health』で作り上げられたものだ。
例えば、Noomのダイエットアプリの有償版『Noom Coach Pro』では、利用者はダイエットの手伝いをするコーチが率いるグループに参加できる。『Noom Health』では、このコーチをバックエンドで機能する医師や看護師と置き換え、必要な場合にダッシュボードを通じて患者とコミュニケーションが取れるようになっている。そのコミュニケーションは、自動介入と連動しており、企業がいつ、どの患者に働きかけるべきかの把握が可能だ。その2機能を結合することにより、ひとつの企業が200人の利用者を獲得できる。
『Noom Health』が初めに扱う慢性疾患は、糖尿病前症及び糖尿病だが、同社は間もなく、うっ血性心不全を追加する計画。『Noom Health』アプリはiOS、Androidにて利用可能で、患者が食事を記録し、自分の状態についての情報を得て、そのサービス提供者とコミュニケーションが可能だ。
記事原稿はこちら(『mHealth News』4月1日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点
Noomのアプリは日本でもリリースされていますが、拠点を置く米国では、日本ではまだ展開していない動きが見られます。
今回紹介した『Noom Health』は慢性疾患向けのサービスです。BtoC向けに展開してきた『Noom Coach Pro』でのロジックなどをベースに、糖尿病などの生活習慣の改善が必要な患者にアプローチするため、BtoB向けに提供されています。
Noom社はBtoC向けには利用者のアルゴリズムを解析し、適切な気づきやアドバイスをシステムで提供することを追求しています。すべてをシステム化するだけでなく、米国ではグループコーチングに参加者がファシリテーターを行なう試みにも取り組んでいます。
そんなNoomが『Noom Health』では“システムによる介入と人間による介入を結合”することにチャレンジしています。『Noom Health』は医療と言うセンシティブな内容を扱うので、医師や看護師が関われる範囲を設けています。またBtoBでの提供になりますので、提供者が見えることは、患者に取っても安心感につながります。
モバイルヘルスはアプリなどを媒介するため、提供側としてはすべてシステムに置き換えて効率化を図りたくなる傾向があります。しかし、提供者としてはシステム化したものを求めているのでしょうか? 業界をリードし、多くのチャレンジを行なってきたNoomの取り組みに、ヒントはたくさんあるように思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
Comments are closed.