『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“調査:Jawboneユーザーはアプリを気に入っているのであって、デバイスを気に入っているのではない。Fitbitの場合はその逆だ”
Argus Insightsでは「マインドシェア(消費者の認識度)」を分析するため、消費者のレビューとSNSのデータを調査した結果、顧客のコンパニオンアプリに対する満足の基準値(Argus Insightsが「delight」と呼ぶ値)は、ハードウェア製品に対する満足度よりずっと低いことがわかった。
レポートには「アプリケーションは、データを理解して役に立つように解釈する橋渡し役である。しかし、2015年11月~2016年2月までのウェアラブルデバイスとアプリケーションに関する136,000人の消費者レビューを調査した結果、デバイスとアプリケーションに関して報告された満足度に明らかな違いがある。デバイスが搭載アプリを凌いでいる」と記されている。
さらに興味深いのは、ユーザーのアプリに対する評価と、デバイスに対する評価がすべてのウェアラブルデバイスで同じではない、ということだ。Jawboneユーザーは、デバイスそのものよりアプリにかなり満足している。Nikeユーザーも同様だが、一方でFitbitやSamsung、Lumoのユーザーは、アプリよりデバイスが大のお気に入りだ。Garminはもっとも極端にずれていた。つまり、デバイスの人気はほぼトップだが、アプリの満足度はもっとも低かった。
Argus Insightsはこうした印象を与える原因についても調査した。機能によってアプリのランキングが上がる可能性がある。Argus InsightsではJawboneの『SmartCoach』と食事管理の人気が高いとされているが、好感度をもっとも下げているのは技術の信頼性の低さだ。
Argus Insightsは「ユーザーは、個人的な健康目標の達成を追い求めてウェアラブルアプリを使うことを楽しんでいるが、デバイスを超えてアプリやデータに同期させる物流上の問題が大きな不満につながっている。アプリの機能も不満の原因になっている。アプリがクラッシュして落ちると不平をもらすユーザーもおり、何回も読み込んだり、果てはデータを失って怒りを買う結果となる」と記している。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2016年3月29日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
米国でユニークな調査がありましたので紹介します。デバイスとコンパニオンアプリのユーザー満足度に関するものです。
ヘルスケアデバイスはスマホとの連動は当たり前の時代ですので、当然自社アプリもセットでリリースすることになります。しかし、デバイスとアプリの満足度がイコールになることはないようです。
その要因はデバイスとアプリでは求めることが違うためではないでしょうか?
提供者としては、デバイスはデータを集めるもの(デザイン性などもありますが)、アプリはそのデータがわかりやすく見えるもの(グラフにするなど)と考えることが多いですが、ユーザーは、「デバイスで集めたデータをアプリでは自分の目的をサポートしてくれるもの」と考えます。
提供者によっては、ダイエットのために体重や食事記録はできるようにしているので、ユーザーの目的は達成できるのでは? と考えているかもしれません。しかし、ユーザーとしては、デバイスで便利なのは活動量の自動記録だけで、体重や食事は毎日頑張って記録(または別の機器を使う)しなければなりません。果たして、頑張って記録するだけで簡単に痩せるのでしょうか? ユーザーは記録で頑張るダイエットがしたかったのでしょうか?
デバイスメーカーだけですべてを解決するのは難しいかもしれません。だからと言って、容易に他アプリと連携するだけでなく、ユーザーの本当のニーズを整理して、もっとも適したサービス(アプリ)の在り方を検討することが必要だと思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ITヘルスケア学会 モバイルヘルスシンポジウムで講演を行う。
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