『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“PatientsLikeMe、iCarbonXとのパートナーシップで1億ドル調達”
慢性疾患を有する人々にとっての情報、支援のよりどころとなっているPatientsLikeMe社は、ゲノミクス企業iCarbonX社との新しいパートナシップにより1億ドルの新規投資を獲得した。既存の投資家であるInvusも資金調達段階で拠出しており、まだ募集中である。
PatientsLikeMeのCEOであるMartin Coulter氏は、MobiHealthNewsの取材に対し、「このパートナーシップは、とてもエキサイティングなものです。なぜなら、これからの10年超の間、患者を支援するための手段を構築するために有効だからです」と語った。「我々は、患者が患者自身のデータを長期にわたって理解することに役立てるため、健康、疾病および看護の実績をトラッキングしています。このパートナーシップにより、さらに高度な臨床的、生物学な水準にたどり着くものになります」。
PatientsLikeMeは、さらに豊富なデータを得るための手段として、センサーやウェアラブル機器などに注目しており、一定のユーザーから血液やDNAサンプルを入手する試験的プロジェクトに関与している。iCarbonXとのパートナーシップにより、遺伝子の塩基配列決定にかかるプロジェクトを拡大していく、としている。
このパートナーシップは、人口知能を利用して遺伝的情報と患者が発する情報を統合し、iCarbonXとともに業務を行ない、技術とアプリケーションのコンソーシアム、iCarbonXのデジタルライフアライアンスに基づくもの。目的は、疾病を緩和するための行動、環境要素についての理解と知見を深化させることだ。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2017年1月5日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
PatientsLikeMeは、難病患者のQOLを高めることを目的に患者自身、また患者家族から生活における状況の変化、対策による効果など、患者ならではの視点から情報を集め、その情報を患者達に還元し、さらに医療(研究や治療での指導)に活かすなど、オンラインならではアプローチを行なってきました。
患者の状況を、ただのデータとして扱うのではなく、患者の満足度高める(QOLを高める)ための場としたことで、率先して参加しやすくなり、多くのユーザーに支持されてきました。
現在PatientsLikeMeは、患者のコメントにプラスして生体データの収集を始めています。実は最初に「患者のコメントを集めて」、それから「生体データを集めている」順番がポイントだと思っています。
通常ヘルスケアでビジネスを考えるとき、まず「生体データを集める」ことから考えることが多いです。そしてデータを集めてからソリューションを検討しようといった流れです。
理論的には正しいのですが、データを提供するユーザー(患者)の視点に立つと、何に役立つかわからないこと、または価値を感じられないことのためにデバイスを付け続けるのは大変な負担になります。しかし、自分にとって常にプラスに働くことを感じられれば、データ収集への協力が長期化しても対応してくれるようになります。
長期間、サービスを提供してきたPatientsLikeMeからは、まだまだ学ぶことはたくさんあるようです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ITヘルスケア学会 モバイルヘルスシンポジウムで講演を行う。
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