『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Mount Sinai、Salesforceを利用してメディケイド患者のケアコミュニティを提供”
Mount Sinai Health Systemは、SalesforceのCRMプラットフォームを利用して、メディケイドの見直しと一緒に、2015年に創設された「Performing Provider System(PPS)」のなかで、メディケイド加入者の医療を管理している。
Salesforceのヘルスクラウドとコミュニティークラウドは、医師やソーシャルワーカーが患者を支援し、病院に来なくて済むようにするために、彼らを手助けする情報を共有できる。Mount Sinai病院のIT部門担当Kash Patel副社長は、「あまりにも頻繁に、患者が自分の医療ケアの時期を後回しにし、救急治療室に入る光景を見ています。これは、患者と納税者の両方にとって厄介な問題です。相応しい人々の手元に、相応しいテクノロジーがあれば、私たちは高額な緊急治療室への訪問を減らしつつ、この悪循環を断ち切り、メディケイドの患者に良質の医療ケアを受ける手助けができます」と述べた。
「Mount Sinai PPS」は、ニューヨーク大都市圏中の35万人以上のメディケイド加入者を対象にしている。Salesforceとの提携により、このエコシステムが及ぶあらゆる医療提供者・機関とPPSを接続し、各組織の情報のやり取りを簡易化することで、患者ニーズの理解と医療ケアの個人化をさらに図ることができる。
SalesforceのチーフメディカルオフィサーJoshua Newman医師は、「Mount Sinaiは、Salesforceを使って数千人のメディケイドの医療従事者とコミュニティーを使って、人口動態、患者のライフスタイル、既往歴に関する詳しい視点を提供しています。この結果として、両者はより密接に提携し、その患者を医療ケアの中心に据えられるようになるでしょう」と述べた。
記事原文はこちら(『mbihealthnews』2017年3月15日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
今回紹介するMount Sinaiは、HMO(ヘルスメンテナンスオーガニゼーション)のため、Mount Sinaiに関連する施設、医療従事者の連携を前提にすることになるので、Mount Sinaiからコミュケーションの仕組みを提供すればスムーズな導入が果たせます。
これが同じ地域にいても、特につながりがない多種多様な医療従事者が、円滑にコミュケーションを取っていくにはハードルがあります。現在、国内でも在宅医療を進めるために、地域ごとに取り組みが行なわれていますが、やはり専門性、患者に対して知りたいことも異なるなかでは、簡単にはいかないところがあります。
このような取り組みは、関係者が共通の目的意識を持てるかが、コミュケーションの仕方にも関わってきます。「Mount Sinai PPS」の目的は、重篤化する前に対策(予防)を打つことで、病院運営の効率化、医療費削減を図ることです。ここが明確なら、どのようなコミュケーションが必要か、設計しやすくなります。
モバイルヘルスをはじめ、ICTは手段でしかありません。なんのための取り組みなのか、その解決策があってからのツール選定としていくのが、結果、効率的な設計が可能になります。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ITヘルスケア学会 モバイルヘルスシンポジウムで講演を行う。
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