『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Samsung、S Healthを『Samsung Health』として再スタート”
Samsungは、スマートフォンGalaxy S8とS8+をローンチした際、『S Health』アプリを『Samsung Health』として改めて展開すると発表した。『Samsung Health』には、 一連の新機能や新たなユーザー向けインターフェースが加わった。
『Samsung Health』には、少なくとも、HIMSSで発表されたAmerican Well社とSamsungの謎めいた提携の成果の一環である。Samsungイチ押しの機能は、「Ask an Expert」と呼ばれるもので、ユーザーは動画を通して資格を持つ医師とコミュニケーションできる。1回あたりの診断料は、保険なしで59ドル。American Wellの料金と同じ水準となる。このアプリには、リアルタイムの保険認証も含まれている。
American Wellの以前のコメントと、Samsungによる発表からすると、ユーザーはAmerican Wellが使っている病院の多くの医師に出会えるようになったのは明らかなようだ。発表では、「AAEのネットワークには、10~15年の診療実績を持つ有資格の医師が1,200名以上在籍している」という。
American WellのCEO兼社長Roy Schoenberg博士は、「これは遠隔医療ではありません。コネクテッドなヘルスケアのエコシステムです。私たちが作り上げたものは、これまでより大きくなりました。そして、Samsungが語っているのは、『私は自社製品の上にヘルスケアを作っているのではない。そのエコシステムに進出し、多くの人が接しているテクノロジーを通してドアを開けようとしているのだ』ということです」と語った。
Samsung Healthは、遠隔医療に加えて、ライフスタイル、食事、フィットネストラッカー、歩数計にアクセスでき、友人たちと競い合うことができる。これはヘルスコネクトの「Discover」機能(1月の噂が正しければ、WebMD製のもの)だ。その他、コネクテッドヘルスデバイスとの統合、「Ask an Expert」もしくは「Health Insights」という、Samsungのヘルストラッカーにアナリティクスやコーチングを提供する機能にサインアップしたときの報酬機能もある。
記事原文はこちら(『mbihealthnews』2017年3月30日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
Samsungのヘルスケアアプリ「S Health」の提供がはじまったのは、2012年のGalaxy S3が発表されたときでした。すでに4年以上続いたサービスとなります。
「S Health」発表当時から注目してきましたが、正直“鳴かず飛ばず”という印象です。けっして内容が悪いわけではないのです。スタート当初はオムロン機器と連携してスマホでデータが見られる仕組みをいち早く導入したり、次のステップでは、「S Health」で取得したデータを、目的に合わせてコンテンツプロバイダとデータ連携し、アドバイスが受けられるサービスを展開していました。その後も2014年には、フィットネスから慢性疾患の管理ができるような仕様に変更したり、保険会社のCignaと提携し、デジタルコーチングプログラムをスタートするなど、医療分野へのアプローチもはじまりました。そして、いつも新たな取組みをスタートした発表以降、話題が途絶えてしまうのです。
Samsungのヘルスケアアプリ担当の方とはお話ししたことがないので、正確なところはわかりませんが、おそらく、新たなサービススタート後、PDCAを回した改善ができていないのではないかと思います。
ヘルスケサービスは、スタートしたときの内容、仕組みのままでヒットしていくことは、ほぼありません。実際にユーザーに使ってもらい、どうしたら継続的に使ってもらえるか? どの段階にいくと有料サービスにシフトしやすいか、などをその都度見極めて、改善していくことが必要になります。
Samsungが『Samsung Health』をプロダクト的な扱いをしてしまうか、サービスとして進化させていけるのか、勝負のときなのではないかと思っています。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ITヘルスケア学会 モバイルヘルスシンポジウムで講演を行う。
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