『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“皮膚に貼り付けて体内情報を収集&分析できるパッチをノースウェスタン大学研究チームが開発”
Northwestern大学の研究チームが、皮膚に貼り付けるだけで汗から体内情報を収集することができるパッチを開発したとのことで注目を集めている。
薄くて柔らかいミクロ流体型のパッチは、肌の汗から健康状態を分析してくれるウェアラブルデバイスだ。1回の使い切りタイプで、2~3時間の連続利用が可能。
このパッチが運動中に収集される汗の成分を分析すると、パッチ内にあるpH、グルコース、塩化ナトリウム、乳酸塩という4つのセクションに別れた曲線の枠の色が変わるような仕組みだ。そしてスマホからその反応を起こしたパッチを撮影すれば分析が行われる。
例えばスポーツをしている最中に装着することで、汗から得られたデータを元に体内の水分量を確認して、適切なタイミングで水分補給を行えるようになるだろう。
また研究チームは、肌につけるだけでデータを収集できるという利便性から、将来的には血液検査なしで他の病気を見つけられるようになることも視野にいれているそうだ。
記事原文はこちら(『TECHABLE』2017年5月7日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点
ユニークなデバイスが開発されました。取得した汗から健康状態を観察していくというものですが、この製品の興味深い点は2つあります。1つは電気を使わないウェアラブルであること。もう1つが使い捨てタイプであることです。
ウェアラブルは常に機能強化と電池の持ち時間でせめぎ合ってきました。それが電池の持ちを心配しなくてよいのはストレスがなくなります。ただし、現プロダクトは連続使用が2~3時間と短いので、割り切った使い方に限られます。現在はスポーツ中に使うことを前提にしているようです。
電気処理されないのでスマホにデータを飛ばせませんが、スマホカメラで撮影すれば解析できるのもよいアイデアです。撮影しなくても、ビジュアル的な変化も確認できるので、運動中の確認でも、何ら問題ないのではないでしょうか。
もう1つの使い捨てタイプであること。これはウェアラブルに付きものな、“いつの間にか無くしてしまった!”から開放されます。高価なウェアラブルを買って2、3日で無くすとショックが大きいですが、使い捨てなら気にせず普段使いできます。
現在の研究段階では、スポーツ時の状態を見るためのものになっていますが、2つのポイントを踏まえると、高齢者などで役立ちそうです。
毎年これからの季節、高齢者の熱中症に気をつけなければなりませんが、若い方より暑さを感じにくい高齢者には、現状を知らせてくれるツールが必要になります。このウェアラブルにはそのような可能性を秘めていると思えます。
このウェアラブルが、大学内の研究に留まらない展開になることを期待します。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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