『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“Partners HealthCare、AI使用を促進するための10年間のプロジェクトを開始”
ボストンに拠点を置くPartners HealthCare社は、ネットワークを通してGE Healthcareのディープラーニング技術を統合する予定だと発表した。今後、10年間の共同プログラムには、マサチューセッツ総合病院、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院臨床データ科学部門のデータが含まれる。
この計画では、データ、計算インフラストラクチャー、臨床専門知識にアクセスできる、幅広い領域に対応可能な共同チームが組まれる予定だ。この計画では臨床に携わる医師の生産性、および画像診断での患者利益向上を目標としたアプリ開発にも焦点が当てられている。
そして、Partners HealthCareは、AIをヘルスケアに導入する新たなビジネスモデルを開発し、分子病理学、遺伝学、公衆衛生学などの高度な専門性を持つ医療分野の製品の開発も行なう予定。
Partners HealthCareのCEOであるDavid Torchiana医師は、声明で「これは医学において極めて重要な瞬間だ。今、臨床現場の医師は膨大なデータに翻弄されている。そして患者も、ヘルスケア産業での非効率性により不利益を被っている」と述べた。
Torchiana医師は、「今回の共同プロジェクトで、ディープラーニング技術の開発と導入が加速する」と話す。このプロジェクトにより、氾濫するデータのなかから適切にデータを保存、解析、活用するツールが医師に与えられ、そして医師はこれまで以上に効率的に、患者に医療サービスを提供することが期待される、とのこと。
このプロジェクトでは、患者の入院治療における入院許可から退院に至るまでのすべてにおいて、AIを導入することを予定している。
記事原文はこちら(『mhealthnews』2017年5月18日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点
AIの導入状況を予防と医療で見た場合、今は圧倒的に医療への活用の方が伸びているようです。ディープラーニングなどの技術開発にAIの力が発揮されてきています。
今回取り上げたPartners HealthCare社の計画も、データを効率的に解析し、臨床医がすぐに使えることを目指していますが、10年計画の肝となるのは、患者に効率的で質の高い医療サービスを提供することになります。
その理由はCMSが“バリューベースドペイメント”を導入したことで、医療に対する評価が変わってきたためではないでしょうか。医療的な結果より、患者の満足度を優先することになると、今まで医療行為をICTを使って効率化するだけでは、求める結果になり得ない場合もあります。
このプロジェクトでは、患者が入院に関連するすべての工程にもAIを活用しようとしています。患者の満足度を測るためには、患者エクスペリエンスを見極めていく必要があります。そのために複数の視点からデータを見ていかなければならないため、ここでのAIの活用は適しているのではないかと思えます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
Comments are closed.