『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“米Amazon、高級スーパー、Whole Foodsを137億ドルで買収へ”
Amazonは高級生鮮食料品スーパー、Whole Foods Marketを137億ドルという驚くべき価格で買収することで同社と最終的に合意したと発表した。
買収は全額キャッシュが予定されている(Whole Foods Marketの純負債額も含まれる)。この買収はあらゆる業種のあらゆる企業に影響を与えるだろう。これによりオンライン、実店舗を問わず小売ビジネスの光景が一変する。
Amazonのファウンダー、CEOのジェフ・ベゾスは「何百万もの顧客がWhole Foods Marketを愛している。ここではアメリカで最高品質の自然食品、有機食品が手に入るからだ。人々はヘルシーな食生活を楽しむようになった。Whole Foods Marketは人々を喜ばせ、満足させる栄養豊かな食品を40年近くにわたって提供してきた。まさに驚くべき達成だ。われわれはWhole Foods Marketの成功が今後も継続されることを望んでいる」と声明で述べた。
記事原文はこちら(『techcrunch』2017年6月16日掲載)
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“米Amazon、実質無料なAlexa対応注文デバイス『Dash Wand』発売。スキャンや声で買い物ができる”
米Amazonが、2014年にリリースした音声認識付きバーコードスキャナー Amazon Dashを音声AIアシスタント Alexaに対応させ、『Amazon Dash Wand』としてPrime会員向けに発売しました。価格は$20ですが、次回注文時に使える$20のクレジットが配布されるので実質無料です。
初代のAmazon Dashは2014年にAmazonの生鮮食料品配達サービスAmazon Freshの会員向けにリリースされました。バーコードをスキャンしたり、音声入力で注文が可能というものでしたが、Fresh会員限定ということもあり、その後あまり話題になることはありませんでした。
そして今回発売となった『Dash Wand』は、初代Amazon Dashと同様にバーコードをスキャンしたり「トイレットペーパー」「バナナ」などと音声入力することで注文が可能。それらの商品は注文確定の操作をするまで購入されませんが、Alexaを使い「Alexa、バナナを買って」と指示すれば、注文の確定まで自動で行うことも可能です。
また、注文をするだけではなく、レシピを検索したり、ニュースを聞いたりと、Alexaのもつ膨大なスキルを活用することもできます。主にキッチンで使われることが多いデバイスだと思いますが、料理中に「大さじ1杯はティースプーン何杯?」などと質問できるのはとても便利そうです。ただし、Alexaのすべての機能が利用できるわけではなく、例えば音楽再生には非対応となっています。
記事原文はこちら(『Engadget Japanese』2017年6月16日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
今回は米Amazonに関して同日に異なるニュースが公開されましたので、合わせて取り上げることで、ヘルスケアにおける展開を考えていきたいと思います。
2つのニュースで共通しているのは「生鮮食品」を扱うことです。ご存知のように健康の視点で食品は大きなポイントになります。米国で健康に気を遣う所得が高めの人達には、高級生鮮食料品をメインに扱うWhole Foodsはブランドとして認知が高いため、より手軽にオンライン注文ができる『Dash Wand』を組み合わせることは、それだけで価値が高いと言えるでしょう。
我々として特に注目したいのは、『Dash Wand』で『Alexa』が対応になったことです。『Alexa』を使うことで、単純に声で注文できる以上の価値が提供できます。
すでに『Alexa』のAIアシスト機能を活用することで、ヘルスケアでの活用が始まっています。例えば、糖尿病管理を支援するOne Drop Medicalは、糖尿病患者が普段の生活における血糖や食事、運動の記録をしていく時、『Alexa』を使うことで、声で記録するだけでなく、患者の記録忘れ防止や介護者への情報通知、さらには生活習慣改善のための教育やコーチングプログラムを提供しています。
このように『Alexa』を活用したプログラムのなかで、具体的な提案として高級生鮮食品を勧めるなどができるようになります。
Amazonの取り組みは、今後のヘルスケアにおける在宅支援のあり方を大きく進展させる可能性があると思えます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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