『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“光で聴覚を補うサポート器具『Peri』”
世界保健機関(WHO)によると、現在、世界で3億6千万人が難聴に悩まされているとのことだが、この悩みは歳をとればすべての人が遭遇するものだろう。
そんな難聴からの悩みを改善してくれるかもしれないテクノロジーが登場した。シンガポール工科大学の開発チームは、メガネに装着することで、音を光に変換して、音源の方向を瞬時に教えてくれるデバイスを開発した。
『Peri』と呼ばれるこのデバイスは、ゲームからインスピレーションを得て開発されたという。アクションゲームなどによくある、画面外の敵に撃たれた際に、画面の端が赤く光ってダメージを受けたことを知らせるものだ。
『Peri』は、ゲームと同様に音がした方向で光が点滅する。眼鏡のコーナーに取り付ける4つのマイクでは、反応する音の感度が調整できて、最も大きな音がした方向を光で示す。コストを抑えるために市販の眼鏡に装着できるクリップタイプのものにしたとのこと。
現在、Periのプロジェクトの途上で、将来的には、より合理的で小さく、邪魔にならないようなデザインになるよう開発が進められている。
記事原文はこちら(『TECHABLE』2017年9月28日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点
シンガポール工科大学にて、ユニークで市場導入の可能性が高い研究が行われています。
メガネに装着して光で聴覚を補う『Peri』の魅力は2つあります。1つ目は、すでにある技術を組み合わせることで、普段の生活に支障をきたしている難聴患者を支援できること。もちろん、音を光として表現するためには、騒音の中から危険と思われる音を抽出するためのアルゴリズムが必要になります。このアルゴリズムが他が簡単に真似できない独自性になってきます。
2つ目が、既存のメガネに組み合わせられる手軽さを追求していることです。既存のメガネに装着することで、デザイン性などが損なわれる、すべてのサイズには対応できないなどの問題もあるかもしれませんが、より安価に手軽に導入できる可能性があります。
難聴の症状が軽い段階から装着することで、事故の軽減につながるなど、社会貢献度の高さにも期待される『Peri』。今後の動向が楽しみです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
Comments are closed.