『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“健康管理のための音声アプリ・スタートアップ”
ヒューマン・テクノロジ・インタフェースの次の動向として、ボイス・イネーブルとボイス・ファースト・テクノロジは業界全体の多くの革新的なアプリケーションをリードしている。検索の50%が2020年までに音声ベースになると予測し、米国家庭の55%が2022年までにスマートスピーカーを持つと予測されている。
ヘルスケアでは音声技術により、潜在的かつインパクトのあるユースケースが蔓延する市場がある。EHRにデータを入力するのに無限の時間を費やした医師など改善を求められてきた。全業種のB2B音声技術へのスタートアップの取り組みとしては、47.1%が医療に注力していたことがわかった。
ヘルスケアの中で想定される市場ごとにスタートアップによる以下の取り組みが始まっている。
<高齢者>
音声は、自宅から出たくないお年寄りにとって価値あるツールというユニークな存在となっている。とりわけ、移動性、手先の器用さ、良好な視力(スマホなど)を要求されるテクノロジーを使えない人にとっては特にそれが当てはまる。以下のスタートアップは、お年寄り向けに音声ファーストのテクノロジーが持つ利点を活用している。
Cuida Health:
お年寄りが家族とつながり、各種サービスにアクセスし、健康的な習慣を身につけ、人に頼らず生きていけるようにする手助けをしている。
ElliQ:
将来を見据えたAI駆動的なソーシャルロボットで、アクティビティを提案し、親しい人たちとのつながりを簡単にすることで、活動的で関わり合いの持てるライフスタイルを促すよう設計されている。
LifePod:
音声ファーストの介護サービスで、介護者やその近親者の日常生活をモニタリング、サポートすることにより、生活の質を向上させるよう設計されている。
<患者とプロバイダーのコミュニケーション>
多くの音声テクノロジーでは、患者と介護者のコミュニケーションを自動化、簡素化している。インテリジェントなボットは、病院スタッフの貴重な時間を無駄にせずに仕事を完遂させることができる。予約スケジュールや外来患者への注意喚起、入院時における治療スタッフの調整などだ。
Merit.ai:
新規・既存の患者に対して、あらゆる予約の設定・再設定、キャンセルを終日提供するためにAIを活用している。
Praktice.ai:
バーチャル病院アシスタントでは、インテリジェントなやり取りに付随する費用を節約するだけでなく、患者の体験を向上させつつも医師その他スタッフの仕事をこれまで以上に生産的にする手助けをする。
Syllable:
ヘルスケア用のチャットボットで、ウェブサイトのほかモバイルアプリでの関わり合い、会話の体験を可能にする。
<医師の記録>
Medscapeの調べによると、42%の医師が「疲れ切っている」と感じている。その要因の一つは、医師がコンピュータと向き合わなくてはならない時間が多いところにある。患者との最後のやり取りをEHRに入力する作業などである。複数のスタートアップでは、医師がEHRに記録を入力するのにバーチャルな筆記法としての音声テクノロジーを活用している。
Kiroku:
洗練された自然言語システムでは、医師と患者の間の会話に含まれるコンテキストを取り出し、治療記録を自動で書き込めるようになっている。
MDOps:
iPhoneやiPadを使って治療メモを記録させることで文書作成の時間が劇的に削減される。これにより医師は多くの患者を診察する時間を増やすことができた。
Notable:
医師と各患者とのやり取りを内容豊かなものとするために、ウェアラブル・テクノロジー、音声インターフェイス、人工知能を活用している。
Saykara:
EHRの面倒な作業を削減できる最新の人工知能対応バーチャル記述ソリューションを活用することで、データキャプチャーを単純化している。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2018年8月3日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点!
米国では音声を活用した取り組みが急速に増加しています。今回紹介した記事原文では、合計で37ものスタートアップが紹介されています。
スタートアップだけでなく、GoogleやAmazonなど大手もこの流れに乗ったサービス開発を進めています。Googleは医療従事者が音声認識ソフトウェアを使用してメモを取る手助けをする医療用AIの開発を、AmazonはAlexaによる医師向けの継続的な医学教育プログラムの提供、プログラム実施のためのスケジュール管理などができるものになっています。
ユーザー視点だけに絞っても、PCでのWebサービス時代からモバイルヘルスになっても、やはり大変だったのが健康記録の入力です。食事記録など、日々記録を手入力し続けるのは、なかなか根気のいる作業です。
一方、テクノロジーの発展で、体重や歩数、血圧や心拍が自動で記録できるようになりましたが、自動で記録されることで、本人がデータの変化を意識することがなくなり、改善につながらないなどの問題も起きました。
音声を活用することで、音声だけで記録できるようになったり、自動で取得したバイタルデータを音声で本人に伝え、データに意識を向けさせることもできるようになります。
実はまだまだたくさんの利点が潜んでいる音声テクノロジー、国内からもそろそろ本格的な参入を考えてみては? と強く思っています。秘策があるので(笑)興味ある方は連絡ください!
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
Comments are closed.