『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“AIが健康を促進するために使用されている5つのユニークな方法”
人工知能はもはや単なる未来の技術ではない。すでにイメージングから診察中の患者への医療分野全体に適用されている。そしてこのテクノロジーはアプリ、ウェアラブル、トラッカーにも採用されている。
現在、医療従事者がAIを使用している最先端の5つの方法を紹介する。
1)医師のアシスタント
現在イノベーター達がAIを使って取り組もうとしているのは書類作成である。
医師のアシスタントを行う『Notable AI』は、音声認識AIとウエアラブル・テクノロジーを融合したものである。口述に反応し発注を処理してくれる他、最適な請求コードの推奨もしてくれる。診療データはセキュアなロボティック・プロセス・オートメーションを用いて電子カルテに自動的に記入される。
市場に出回っている医師のアシスタントは『Notable AI』だけではない。『Robin Healthcare』は医師や臨床医がカルテを書くのを補助するための音声認識AIデバイスを発表した。Amazon AlexaやGoogle Homeの音声アシスタントのように見えるデバイスは、医師のオフィスに置かれて医師の話す言葉からメモを作成する。
2)メンタルヘルス
欧米で熟練した精神医療のプロが不足していることは周知の事実だ。ヘルスケア業界が先を争いながら緊急問題の解決法を示す中で、イノベーター達は次々にテクノロジーへと向かっている。プログラムをセットでユーザーに提供する「Silver Cloud」のようなものもあるが、他社はAIの活用に向かっている。
Woebot社もAIを採用した1社である。チャットボットはメッセンジャー・システムを通して稼働するが、担当するのは人ではなく、ユーザーは自らの精神衛生について話すことを促すように認知行動療法の原理を用いてプログラムされたAIにつなげられる。まだFDAの検査を通ってはいないが、このツールはユーザーがうつ病や不安症の症状に負けずに歩んで行くことを目的に設計されている。
3)女性の健康
多くの企業が不妊治療や月経の記録にAIを起用している。
女性が自らの月経のサイクルを予測するためにAIを使ったFlo Health社はこの分野で注目すべき企業の1つである。月経と排卵のトラッキング、ユーザーの健康状態や気分、毎日の健康に関する情報やバースコントロールのリマインダーなども搭載している。このツールにはまた妊娠モードや産後モードも備わっており、母親が赤ちゃんの発育を見ることもできる。
4)理学療法
「フィジカル」という名前の通り、人でしか治療は行えないと思うのがほとんどだろう。しかし今ではフィジカルな指導が遠隔で受けられる手段としてAIを採用するデベロッパーも数社出てきた。
Sword Health社のプラットフォーム『Phoenix』は、AIを使って患者の身体的ニーズを理解し、治療中に反応してフィードバックの提供や、臨床チームから遠隔で指導を提供する。またこのプラットフォームは、ケア・チームが患者の詳細な分析を得ることのできる臨床ポータルを有している。
5)ソーシャルメディア
1月にカナダ政府は、AIを使ってソーシャルメディアの投稿を追跡し、自殺のリスクのある人を発見するためにAI企業のAdvanced Symbolics社と連携した。このAI企業は契約の一環として、研究結果を要約した最終レポートをカナダ政府に提出することに合意した。このレポートは年齢と性別によるリスクとなる人口統計や、行動パターンの変化がリスクや防護の要素に与えるインパクトなどを含むものとなる。
自殺問題に関してはFacebookも会話に参加している。このソーシャルメディアの大御所は自殺の脅威やハイリスクの投稿を特定するために2017年11月からAIを使い始めた。このテクノロジーによりそれらの投稿にフラグが立てられ優先化されて、コミュニティーリレーションズのチームが間近に迫った危機に取り組むことができる。それに加えて、このAIシステムはコミュニティーリレーションズのチームを補助し、必要であれば彼らがファーストレスポンダーへ電話をかけてユーザーを助けることもできる。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2018年11月9日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
ヘルスケアにおいて、海外(特に米国)でAIの導入が進んでいます。それに対し、ヘルスケアにおける日本でのAI活用は、まだ少ないように思われます。
ご存知の通りAIは、情報を蓄積し、学習させ、適切な回答、アドバイスを導き出すものです。ヘルスケアでのAI活用には以下のようなものが挙げられrます。
「情報を蓄積して活用する」
疾患や予防を改善するために、どのようなときにどのような対応をすればよいかを蓄積し、ユーザーから得た情報から適切な回答、アドバイスを導き出す。
この機能は、オンラインで双方向のやり取りができるようになった時代から求められてきたものです。例えばダイエットなど現状を知り、自動で情報を提供するといったオンラインサービスがそれに当たります。
AI以前に自動情報提供型オンラインサービスがうまくいかなかったのは、ユーザーの情報収集量も少なく、回答例のパターンも同じく少ないため、目標達成にはある程度期間を要する(ダイエットに3ヶ月かかるなど)ものですと、途中で同じ情報しか提供されず飽きてしまったり、少ない情報からの判断なので、ユーザーが今やれるアドバイスにならないことなどから、継続に貢献しないことがありました。
しかし、AIを活用することで、ある程度の期間を前提にしたサービス設計が可能になります。
今こそ現場で培ったノウハウをオンラインサービスに活かすときだと思います。そろそろ本気でAIの活用、検討してはいかがでしょうか?
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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