『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「
今回注目したニュースはこちら!
==============================
“研究:半年間のウォーキングで思考力が改善、脳の9歳若返りも”
(CNN) 高齢者が1週間に3回、ウォーキングをしたり自転車をこぐだけで、加齢に伴う思考力の低下を改善することができるという研究結果が、このほど医学誌に発表された。同時に食生活も改善すれば、脳の実行機能年齢は9歳も若返ると報告している。
この実験は米デューク大学のジェームズ・ブルーメンソール氏の研究チームが、心血管系疾患の原因となる高血圧などの症状をもつ大人160人を対象に、6カ月にわたって実施した。被検者はいずれも運動をしたことがなく、意思決定の問題や記憶力や集中力の低下など認知機能に関連した症状が確認されていて、平均年齢は65歳、性別は女性が2/3を占めていた。認知症と診断された人や、運動のできない人は除外されている。
被検者は4グループに分かれ、第1グループは塩分や脂肪分や糖分を減らして野菜や果実などを増やすDASHと呼ばれる食生活を開始。第2グループは運動のみを取り入れて、前半3カ月はリハビリ施設で週に3回のウォーキングまたは自転車こぎの軽い運動、後半は自宅で運動を続けてもらった。
第3グループは週3回の運動と、DASHの食生活の両方を実施。第4グループは心血管系疾患のリスク低減について助言しただけで、食生活や運動しない習慣は変えなかった。
実験の開始前と終了後には、それぞれ認知力検査やランニングマシンを使った体力測定、食生活診断を受け、血圧や血糖値も測定した。
その結果、運動のみを行ったグループは運動しなかったグループに比べ、計画的に物事を遂行できる実行機能が大幅に改善した。
「コントロールされた有酸素活動は、たとえ短期間であっても、例えば料金の支払いなど自分のことを自分でこなす脳の領域に大きな影響を与えることができる」アルツハイマー予防に詳しいリチャード・アイザクソン氏はそう解説する。
記事原文はこちら(『CNN.co.jp』2018年12月22日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、高齢者が1週間に3回、ウォーキングをしたり自転車をこぐだけで、思考力の低下が改善するという研究結果のニュースです。
医学誌に発表されたデューク大学の実験では、平均年齢は65歳で意思決定の問題や記憶力や集中力の低下など認知機能に関連した症状が確認された人を対象に、運動と食生活それぞれ異なるアプローチでグループごとの改善状況を比べています。
・第1グループ:塩分や脂肪分や糖分を減らして野菜や果実などを増やすDASHと呼ばれる食生活アプローチ
・第2グループ:運動のみのアプローチ(前半3カ月は施設で週に3回のウォーキングまたは自転車こぎの軽い運動、後半は自宅で運動)
・第3グループ:週3回の運動と、DASHの食生活の両方のアプローチ
・第4グループ:知識提供のみで食生活や運動の習慣は以前と変えないアプローチ
この実験の結果で、食生活だけで運動をしなかった第1グループでは、思考力にそれほどの改善は見られなかったが、逆に運動を実践したグループでは、計画的に物事を遂行できる実行機能が大幅に改善したようです。
また、思考力や計画的に物事を遂行できる実行機能の改善には、運動の実践のほうがより効果的のようですが、第3グループのように運動にプラスして食生活の取り組みを組み合わせることで、運動だけの第2グループよりも、より改善効果が見られたとのこと。
やはり、運動と食生活をセットにしたアプローチのほうが効果が高いということで、健康の基本と言われている「食事」と「運動」が「脳」に対しても当てはまるものだとあらためて感じました。
また、今回の実験結果の興味深い点として、6カ月間の実験期間では脳の実行機能の改善は見られたが記憶力自体の改善にはつながらなかったということで、これは期間の短いことが原因で18カ月間程度継続すれば記憶力も改善するのではないかと専門家がコメントしている点です。
ある程度長期間に渡って食生活と運動面双方に取り組めば高齢者でも記憶力自体が改善できるということは、若年層から食生活と運動の習慣を取り入れていけば、高齢になった時の記憶力低下を防ぐことにつながることだと思います。
やはり、若年層から減塩や野菜を多く摂る食生活を実践し、運動を生活習慣に取り入れることが全ての健康に通じることだと、今回のニュースを見てあらためて感じました。
しかし、そのポイントになる生活習慣を改善する、習慣を定着させることの難しさこそが健康領域の大きな課題でもあり、アプローチすべきポイントなのだと思います。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、
Comments are closed.