『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“調査:1日1万歩は歩き過ぎ?ハーバード大の研究で明らかになったウォーキングの新常識”
これまでライフハッカーでも、健康のためには1日1万歩、または1万歩じゃ少ない、1万5,000歩は歩いたほうがよい、など歩数と健康について取り上げてきました。
ただ、毎日1万歩歩くのってなかなか大変なんです。結構歩いたかな、と歩数を確認しても5,000歩ほどしかいってなかったり、挙句の果てには歩数カウントがプレッシャーになってしまって夜ウォーキングに出るのがなんだか億劫になる、なんて日も。
そんなとき私を救ってくれたのが、NEW YORK POSTに掲載されていたハーバード大が発表した新たなウォーキングに対する研究結果です。
実験では60歳前後から100歳前後の女性約16000人を4年間に渡って観察。日中の歩数やスピード、またそれぞれのライフスタイルやこれまでの健康状態などを掛け合わせてみると面白い事実が浮き彫りになりました。
4年間の実験中に504名の死亡が確認されたが、毎日平均して4400歩程度歩いていた女性たちはその半分ほどしか歩いていない女性たちと比べて死亡率が格段に低くなっていたことが分かった。また、7500歩、もしくはそれ以上歩いていた女性たちはおおむね全員死亡率が低かったが、1万歩歩いたからといって特段目立ったメリットはなかったという。(NEW YORK POSTより引用翻訳)
記事原文はこちら(『lifehacker』2019年10月4日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点!
スマートフォン登場以前から、歩数計文化が定着している日本において“1日1万歩”はわかりやすい指標として浸透しています。
今回の記事のように特定の年齢や生活習慣などを踏まえれば、1万歩達成しないといけない、わけではないことがわかります。
ハーバード大の研究より多くのデータから細かく指標化したのが、すでに日本にもあります。
それは、青柳幸利氏が2000年から生まれ故郷の群馬県中之条町で行ってきた健康実験「中之条研究」です。(発表されている指標はリンク先で詳細を確認ください)
このように年齢や目的によって歩数や強度を細かく定めることはできます。
問題は“どう続けるか?”です。記事にもあるように、1万歩を達成することが目的になると、達成しなかった日が続くと心が折れてきて、そのまま止めてしまう原因になります。
本来、歩く目的は目標歩数を達成することではないはずです。痩せたい。とか疲れにくいカラダを手に入れたい。などなど、人それぞれ目的があり、それを達成する手段としてウォーキングをしているだけなのです。
現在、歩数を管理するデバイスやアプリは多いですが、主観的に目的に近づいているのかを感じさせる視点が抜けているため、何が目的だったかを見失ってしまいやすくなっています。ウォーキングに関わらず、データを使ったサービスはこのようなことが起こりやすいです。
皆さんは誰の何を達成するために健康ビジネスをしているのか?自分ができることで考えるのではなく、改めてサービス全体像を見直してみるとよいと思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
Comments are closed.