『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“HIMSS、「デジタルヘルス」の定義を明確化”
10人の医療関係者に「デジタルヘルス」とは何か?と尋ねると、10の異なる答えが返ってくる。曖昧な用語であり、業界とメディアを何度も悩ませてきている。
HIMSSは、「デジタルヘルス」に対する独自の定義を考案した。定義は次の通りである。
「デジタルヘルス」は、人々を結びつけ、健康および健康促進を管理するための力を与える。そしてそれは、利用しやすく支援的な供給チームによって強化される。これらチームは、ケアの提供を変革するために、デジタルツール、テクノロジー、サービスを戦略的に活用し、柔軟で、統合的、相互運用可能で、デジタル対応可能なケア環境の中で働いている。
「定義を生み出すのは本当に難しいことです。特に研究者としては。唐突に決めたものではありません。まず、チームに、文献を調査し、公開されているデジタルヘルスのすべての定義を見つけさせることから始めました」とHIMSSのAnne Snowdon臨床研究部長は語った。
Snowdon氏のチームは30を超える定義を見つけ、それら多くは、遠隔医療、モバイルヘルス、Eヘルスといった「デジタルヘルス」を包含するテクノロジーの詳細の形式を取っていた。
テクノロジーに基づいた定義は、テクノロジーの変化に伴い時代遅れになるリスクがある。そのためSnowdon氏のチームは、「デジタルヘルス」とは何かということではなく、「デジタルヘルス」が何を行うかということを中心に構築された定義を作成することに着手した。
「HIMSSの定義は、実際に2つのことを行うことを目的としています。システムに焦点を当てているため、結果の観点からデジタルヘルスシステムは何を達成し、そしてそれをどのように達成するか?と、デジタルヘルスの進展における、デジタルテクノロジーの役割は何か?ということです。その定義に注目すると、いくつかの重要な要素があります。1つ目は、エンパワーされた消費者または市民で何を達成するか?人々が自分の健康と健康促進を自己管理できるようにすることです。2つ目の、それに非常に密接に関連していることは、デジタルテクノロジーを使用して、臨床チームと消費者を結びつけ、消費者が健康と健康促進の最適化の観点から自分自身を助けるのを支援することです」
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2020年3月10日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点!
HIMSS(Healthcare Information and Management Systems Society)とは、1961年に米国で設立された医療情報管理システム協会です。mHealth Watchでもカンファレンスなどで何度か紹介している非営利団体です。
今回、定義が不明瞭であった「デジタルヘルス」をHIMSSとして定義付けたことで、mHealth Watchのようなメディアを見ていただいている人にはわかりやすくイメージできると思います。
今回の定義付けは、業界関係者向けです。定義付けたからと言って、一般ユーザーに伝わるわけではありません。一般の人はそもそも「デジタルヘルス」との言葉を知らないものです。「デジタルヘルス」自体が、一般ユーザー向けの言葉ではないとの意識のもと表現していかないと誤解を招く場合もあります。
ただし、「デジタルヘルス」が一般ユーザーにある程度普及してきた段階には、正しい定義を伝えていくことも我々の役目でもあるでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
Comments are closed.