『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Peloton、自宅フィットネス増加でQ3の決算報告は売上も会員も大幅増”
コネクテッドフィットネスのPelotonが、ウォール街の高い期待をさらに上回った。発表された四半期決算では、66%増の売上を記録していた。そして時間外取引では同社の株価は乱高下し、これまでの最高値よりも下に落ち着いた。
同社の四半期売上は5億2,460万ドル(約557億5,300万円)で、予想の4億8,850万ドル(約519億1,900万円)を上回った。同社の一株あたりの損失は0.20ドルになった。会員数はQ2の200万人からQ3は260万人になり、前期比で30%の増加となった。3月に同社は、エクササイズバイクやトレッドミルなど同社のハードウェアと結びつかないデジタル会員の無料試用期間を30日から90日に増やした。同社のコネクテッドバイクは2,245ドル、トレッドミルは4,295ドルだ。
Pelotonは、新型コロナウイルス(COVID-19)が商機となった数少ない上場企業の1つだ。ジムが閉鎖し、屋内避難が行政の命令だから自宅の室内でフィットネスに励む人が増えたのだ。Pelotonは売上が増えただけでなく営業マーケティング経費も53%増えて、Q3では1億5,480万ドル(約164億5,200万円)になった。
同社にもネガティブな影響はある。ショウルームの閉鎖を余儀なくされたほか、専用スタジオでのライブのクラスも中断した。最近同社は、インストラクターの自宅からのエクササイズクラスを、ユーザーのコンピューターやスマホの画面にライブでストリーミング配信している。
記事原文はこちら(『TechCrunch』2020年5月7日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
現在多くの企業がアフターコロナに向けた準備に入っていますが、まずはコロナ禍において数値を伸ばしたPelotonについて見ていきます。
Pelotonが数値を伸ばした要因は「ホームフィットネスだったから」の一言では片付けられません。同じくホームフィットネス「WeFit」を展開するOnaclover社はコロナ感染拡大の影響を理由に破産申請することとなりました。
また外出自粛によりホームフィットネスに注目が集まり、施設サービス事業者がホームフィットネスに力を入れたり、スポーツ選手などによる無料での動画配信が増えたりしましたので、高額と言っていいPelotonにユーザーが集中する理由にはなりません。
では、なぜPelotonがコロナ禍において売上を伸ばすことができたのか?
それは、“すでに欲しい、やってみたいと思っていた人たちにとって、コロナが後押しとなったため”と言えます。
コロナ禍において「何かをしなければならない(何かしたい)」との欲求を持ったとき、自分にとってまったく文化がないものに対して、お金を払うまでの選択をすることは難しいものです。
しかし、忙しくてできなかった読書をこのタイミングでまとめてやろうと、書籍を購入することへの抵抗感は少ないはずです。それは、すでにお金を払って読書する価値や、コロナに関係なく、読んでみたいとの欲求を少なからず持っていたからではないでしょうか!?
ビフォーコロナのときから、Pelotonはすでに大きなブームを作り話題を集めていました。機会があればやってみたいと思っていた人は多かったはずです。コロナ禍において提供サービスが需要にピッタリ当て嵌まったのが売上増加の要因と言えます。
アフターコロナでPelotonとまったく同じ展開はできなくとも、ユーザーの文化を意識することで、アフターコロナに適した商品サービスを提供することは可能であると言えます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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