『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“デジタルヘルスパスポート『CommonPass』、旅行と貿易の再開を支援するためのテストを開始”
コモンズプロジェクト財団と世界経済フォーラムは、旅行者向けの新しいデジタルヘルスパス『CommonPass』のテストを国際的に開始すると発表した。
『CommonPass』の目的は、旅行者がCOVID-19感染症のステータスを電子的に文書化し、飛行機に乗るときや国境を越えるときにを提示できるようにすることで、旅行者と国家の両方にとって安全に旅行が行われていると保証することだ。
『CommonPass』は、グローバルなデジタルサービスやプラットフォームの構築に取り組む非営利の公共信託であるコモンズプロジェクト財団と、官民協力のための国際機関である世界経済フォーラムによって開発された。
これを利用するには、旅行者は認証済みの研究施設でCOVID-19感染症テストを受け、その結果を『CommonPass』に共有する。そこから、旅行者は旅行先の国が設定した追加的スクリーニング対策があればそれを完了させる。
旅行者のヘルス情報がその国の入国要件に適合していることが確認されると、『CommonPass』はQRコードを生成し、それをスマートフォンで閲覧したり、印刷したりできるようになる。航空会社のスタッフ、入管職員、その他のヘルス担当者は、このコードをスキャンして、すべての安全対策が取られたことを確認できる。
『CommonPass』のプラットフォームには、適応性がある。これにより、政府はパンデミックの進行状況に合わせて入国要件を更新することができる。また、一般データ保護規則(GDPR)のようなプライバシーポリシーに準拠することで、ユーザーのプライバシー保護の役にも立つ。
現在実施中の試験のうち2件は、キャセイパシフィック航空およびユナイテッド航空と提携して行われている。出発前に新型コロナ感染症テストを受け、結果をアップロードし、出発地と到着地の空港で入国要件に従うという、完全な旅行者体験を模倣しようと試みている。
試験が行われるのは、香港国際空港~シンガポール・チャンギ国際空港間と、ロンドン・ヒースロー空港~ニューアーク・リバティ国際空港間のフライトが対象だ。
これらの試験後に、コモンパスはアジア、アフリカ、南北アメリカ、ヨーロッパ、中東の航空会社や路線を追加・拡大していく予定である。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2020年10月7日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
COVID-19によるパンデミックの間、多くの国が国境を越えた移動を減らすための措置を講じてきました。WHOによると4月初旬に194カ国がビザ制限を、143カ国が国境を封鎖したとのことです。
COVID-19の蔓延を食い止めるためとは言え、ここまで大掛かりな移動に関する規制は、経済だけでなく、医療的支援においても大きない影響を与えてきました。
今回取り上げた、コモンズプロジェクト財団と世界経済フォーラムの取り組み『CommonPass』は、少しでも円滑に国境を越えた移動ができるようにしようとするものです。まだテストも始まったばかりのため、2つの航空会社と4つの空港間に限られたもので、ここでの成果を踏まえ拡大していくようです。ここで得た知見が、今後の国間の移動における確認ツールの基準になっていくのでしょう。
COVID-19は簡単には終息しませんし、今後も次なる感染症などが起こり得ることを考えると、今、このような基準となるものが必要になってきます。
『CommonPass』の利用がニューノーマルになっていくように、日々の健康維持におけるニューノーマルも検討していく必要性が出てきたのではないでしょうか。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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