『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Audibel、ユーザーの環境に反応するAI対応の補聴器『ArcAI』”
Audibel社は、新しいAI補聴器『Arc AI』の発売を開始した。
AIのアルゴリズムによって、ユーザーの環境に合わせて自動で補聴器の音量を調整することができる。ユーザーは耳穴型や耳かけ型など複数のスタイルから選ぶことが可能だ。
また、この補聴器には転倒検知機能が搭載されており、事故の可能性がある場合には介護者に連絡することができる。補聴器の設定によって、ユーザーに予約や薬の服薬を知らせることも可能だ。さらに、Bluetooth接続機能も搭載されており、補聴器で通話を受けたり、さまざまなメディアの音声を聞くことができる。
「Arc AIは、すべての着用者が経験するであろう、日常生活でのあらゆる場面に合わせて自動的に調整を行います」と、AudibelのリージョナルマージングディレクターであるKeri Ruf氏は声明で述べている。「部屋がうるさい時には『Arc AI』が周囲の雑音を低減し、散歩に出れば音の方向を拾ってくれます。マンハッタンのように、クラクションの鳴り響く騒がしい通りから静かなオフィスビルに向かうことがあるような場所では、自動調整機能は必須でしょう」
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2021年10月7日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
ICTを活用した高齢者向けビジネスは、米国でも収益を伸ばすものと、あまり伸びていかないものの明暗が明確になってきたようです。
高齢者向けでヘルスケア要素が関わるものとして国内外共に多いのが、見守りサービスです。
特にICTを活用した見守りは複数登場しました。
事例をいくつか追いかけていますが、良くて年商10億円ほどで、多くが数年手掛けると撤退してしまっている状況です。
見守りビジネスの課題は発展性です。
見守られる対象者が、そのサービスにより現状をキープする、もしくは状態が 良くなるならよいのですが、対象者が高齢者である以上、肉体や記憶は衰えていきます。ゆっくりであったとしても、悪くなっていく様を見守っていくことになります。
当然、施設や病院に行った方がよい時期を判別できるなどの、安心感につながるというのもありますが、生死が関わることをICT任せで判断するのは、まだまだ難しいところがあります。医師など専門職が定期的に訪問が必要になるでしょう。
まだ次のビジネスにつながるようなものが見えてこないのが高齢者見守りビジネスです。
一方、今回紹介した補聴器などは可能性を秘めています。今回紹介したAudibel以外にも注目を集めている企業としてはEargoです。
どちらも補聴器に持たれていた不満点をICTにより解決するアプローチを取っています。どちらも補聴器特有の見た目や使い心地の悪さを解消することで、高齢者によりアクティブに活動するための活力を与えています。
高齢者であっても前向きに生きていける。人はその喜びのためにお金をかけたいものではないでしょうか。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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