『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Ro、ダイエット薬『Plenity』が前年比1,500%になると予想”
Ro社は、ダイエット薬『Plenity』の前払注文3,000万ドルで減量業界に勝負に出た。ニューヨークを拠点とする同社は、『Plenity』製造元のGelesis社と2019年、取引に調印、Roの仮想介護サービスの一部として同製品を提供している。
『Plenity』は、クラス II 医療機器として2019年にFDA承認を受けた。利用者は製品の処方箋を受けるためRoの遠隔治療を利用できるが、同製品は薬ではないとGelesisは明確にしている。
利用者は、満腹感を感じるため、食前にカプセルを摂取する。同製品はBMIが25から40の個人を対象にしている。
ベータ版期間は2020年10月に開始したが、Geleissの発表によれば、需要は供給を上回った。Roは、『Plenity』が売上成長で前年比1,500%になると予想している。
「GelesisとRoは、体重管理目標のサポートを求める患者に対して高品質な治療の利用を拡大する共通のミッションに着手した。『Plenity』をRoプラットフォームを介して受け取った数万人の患者に対して提供を行った」と、Roの共同創業者兼CEOのZachariah Reitano氏は発表で語った。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2021年11月18日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回ご紹介する『Plenity』は昨年10月からテスト提供がはじまり、一部で画期的ダイエット法として話題になっていました。
この記事では『Plenity』についてあまり説明がないのでここで補足すると、『Plenity』とはクエン酸とセルロースを使用して無毒のペーストを作成し、摂取後に満腹感を感じるようにする減量治療薬(開発元のGelesisは薬ではないと言っているが)で、食事の前に服用すると錠剤が膨張して胃の約25%を占める物質になり、食事はより少ない量で満腹感を得られるようになります。
この説明だけだと怪しげな印象を持つかもしれませんが、FDAよりクラス II 医療機器として承認を得ていますので、合法な製品となります。
米国の肥満率は深刻で、人口の42.5%が肥満だと言われます。米国はいまだ肥満大国なのです。そして、皆さんご存知のように肥満が原因となり多くの疾患を誘発し、さらには肥満により治療を阻害することにもつながっています。どれだけ肥満が害であるかは、多くの人が知っているはずですが、いまだに肥満は撲滅することはありません。
肥満解消には本人の意志で行動し続ける必要があります。肥満が減らないのはこの「行動をし続ける」ことのハードルがあまりにも高いためです。食事を我慢すればカラダは食べ物を欲し、運動に取り組めば、カラダが音を上げてきます。どんなに強い意志を持とうとしても、カラダが本能でつらいことは嫌だと訴えてくるため、挫折しやすいのが現状です。
『Plenity』は飲むだけで食事量を減らすことができ、結果、減量ができると言うものです。食事を我慢することによる、空腹の我慢に耐える必要もなくなります。これこそ多くの人が求めるダイエット方法かもしれません。
問題は『Plenity』による減量効果がどれだけ持続するか?です。飲むのをやめたら元の体型になるなら、一生飲み続けなければならないかもしれません。
仮に一生飲み続けても太らないならそれでよしとしたとして、毎食クエン酸とセルロースで25%も満たし続けることでの弊害はないのか?など、気になる点もあります。
現状の『Plenity』は治療の一環として使用されています。乱用しないようにするため、オンラインでの体調管理もされています。おそらく一生飲み続ける前提ではないのでしょう。
このことからも、『Plenity』は治療の一環として活用し、健康な状態を取り戻したら、それを維持するための取組みは別途必要となるでしょう。
今しばらく、ダイエットは飲めば終わりとはいかないものなのかもしれません。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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