『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“すべての人の声が聞こえる社会に。高齢者も障害者も感想をシェアできるハードウェア”
障害者や難民の人のための施設や手頃な価格の住宅ユニット、生活困窮者への食糧提供……私たちの周りには、社会的に弱い立場にある人のための支援施設やサービスが存在する。
これらの支援はすべての人たちの生活、そして命を守るために大切なもの。しかし、同時にジレンマも存在している。それは、多くの場合、サービスの提供者と受け手の間に、権力関係が生まれてしまうこと。また、支援を受ける側がサービスに対して「正直なフィードバックをしづらい」ことだ。
「支援をする側ーされる側」という関係性はもちろん、高齢者や障害者、難民などサービスの受け手の状況によっては、ヒアリングをすることが必ずしも簡単ではない。紙のアンケートや対面でのインタビュー、オンライン調査などの様々な手段が考えられるが、個別の状況に合わせてフィードバックを求めることは難しい。それによって、より良いサービスの提供につなげられていない現状があるという。
この「フィードバックのしにくさ」という問題を解決するため、アメリカに拠点を置く企業Pulse for Good社は、新たな仕組みを考えた。同社は、様々な施設の中にキオスク(電子ハードウェア)を設置することで、誰でも簡単に利用するサービスについて発言できるようにしたのだ。
こだわりは、その匿名性。企業やサービスプロバイダーが回答者の身元を特定できないように、フィードバックは匿名になっているため、回答者は報復を恐れることなく、安心してサービスに関する感想を共有することが可能となっている。
これまでに、すでに5万件以上のフィードバックがキオスクを通して寄せられており、Pulse for Goodは、フィードバック1件につき、個人の声を届けるために努力している団体や、ホームレス支援団体などに寄付している。
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『mHealth Watch』の視点!
今まで社会への貢献とビジネスにおける収益化は結びつき難さがありました。利益を追うと環境や働き手にマイナスな影響を与えることがあり、逆に環境や働き手にプラスに影響することを追求するとコスト高になってしまうため両立が難しかったのです。
それがSDGsという目標を定めたことで、社会への貢献を前提としたビジネスに多くがシフトすることとなりました。
このSDGsに「誰も取り残さない」という原則が採用されたことで、今までビジネスとしてスポットが当たり難かった社会的弱者の方々に向けた商品やサービスに参入しやすくなってきました。
今回紹介するPulse for Goodが提供するキオスク端末もその一つです。
ビジネスを検討する立場の人の多くは、「高齢者とは、障害者とは、こういうものだ」「これを求めているはずだ」と一方的に決めてしまうことがあります。初期の企画段階の仮設ではそれでもよいかもしれませんが、開発段階では本質的な部分までしっかりと調査、分析しないと、本当に求められるものにはならないと言えるでしょう。
Pulse for Goodのキオスク端末には、社会的弱者となる方々から、より多くの生の声を集められる可能性を感じます。
社会的弱者の方々を対象に考えると、現在のテクノロジーの延長でも問題解決に貢献できるものは、まだまだ作ることができると思います。ぜひチャレンジしていただきたいです。
mHealth Watchでは、社会的弱者の方々に役立つものを率先して取り上げていきたいと思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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