『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Withings、新たにリモート患者モニタリングプログラム『WithingsRPM』を発表”
Withingsのプロバイダーに焦点を当てた部門であるWithingsHealthSolutionsは、『WithingsRPM』と呼ばれる新しいリモート患者監視プログラムを発表した。
『WithingsRPM』は、体重計、腕時計、体温計、血圧計などWithingsのコネクテッド・デバイスによって、心拍数、活動量、血圧、睡眠パターンなどの患者データをモニタリングする。
Withingsは、遠隔患者モニタリング・プロセスを簡素化する方法として、各プロバイダーにこのサービスを売り込んでいる。Withingsはセールスポイントとして、セットアップ時に患者をサポートするアプリ付属のデジタルアシスタント、請求書作成の補助となるアクティビティ・トラッキングおよび月報、電子健康記録(EHR)とのインテグレーション、患者エンゲージメントツールを挙げている。
Withingsが遠隔患者モニタリング業界に進出するのは、これが初めてではない。2008年に設立された同社は、2016年にNokiaに買収され、2年後に共同創業者のÉric Carreel氏によって買い戻された。
2019年、Withingsは、データ管理および分析ハブ、ならびにプロバイダー向けの遠隔患者モニタリングプラットフォームを提供するB2B部門を発表した。同社は、2020年7月にシリーズBで調達した資金6,000万ドルの一部を、同部門のグローバル展開に使用すると述べた。
Withings Health Solutionsのヴァイス・プレジテントAntoine Robiliard氏は声明で、「弊社初の遠隔患者モニタリングソリューション、Withings MED-PRO CAREを発売して以来、弊社は市場を継続的に評価することでペインポイントを発見し、また、RPMの飛躍的発展と大規模での普及を実現する戦略を立てることができました」と述べている。
「弊社の分析では、これまでRPMに欠けていたのは、シンプルさへのこだわりと患者のエクスペリエンスへの焦点です。ほとんどの取り組みが、プロバイダー向けの技術的なインテグレーションに焦点を当てています。これは非常に重要ではありますが、RPMを成功させるためには十分ではありません。RPMプログラムの立ち上げ、患者の受け入れ、モニタリング、自己健康管理の支援は、すべてのステークホルダーにとって簡単であるべきです」
Withingsは同年に2件の買収を行っている。1月には、新製品のスマートスケールを公表した直後に、フランスの医療機器メーカー、Impeto Medicalの買収完了を発表した。また、フィットネスおよび栄養管理向けアプリを提供する8fitも買収した。
3月には、デジタル減量企業Calibrateと提携し、Calibrateの会員にWithingsのコネクテッドスケールBody Proを提供することとなった。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2022年5月2日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
Withingsはユニークな会社です。ヘルスケア機器メーカーとしてスタートし、軌道に乗ったところでNokiaに買収し、2年後にはWithingsの共同創業者Éric Carreel氏が買収し直しています。
なぜこんなことが起きたのか?
おそらく、Nokiaではヘルスケアデバイスの販売がよくわかっていなかったのではないか!? と思われます。
Nokiaと言えばケータイ端末メーカーで有名です。特にケータイが普及した初期の頃(スマホ以前)は、コミュニケーションツールを身近に持てる商品自体の価値が大きかったと言えます。そして各キャリアが使い続けることに価値を感じさせるサービスを提供していたことが、爆発的に普及した要因として挙げられます。
実はヘルスケアデバイスにも同じことが言えます。計測できると言うモノの価値とは別に、使い続けることで得られる価値がないと利用が継続しません。
この使い続けるための価値となるサービスを、勝手に誰かが担ってくれることはありません。Nokiaが行わなければならないのですが、そこが見えてなかったのではないでしょうか!?
Éric Carreel氏はあえて新規でメーカーを作らず、Withingsを買い戻しました。おそらくブランドや商品に付いた信頼を1から作るより、すでにある信頼の上で、継続するサービスを仕掛けた方が早いと判断したのではないかと思われます。
「メーカーだからよい商品を作ればいい」では足りないのがヘルスケア業界です。Withingsから学べることは多いです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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